2014 Fiscal Year Research-status Report
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26660040
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
有江 力 東京農工大学, (連合)農学研究科(研究院), 教授 (00211706)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 生物源農薬 / 非病原性力因子 / トマト / イネいもち病菌 / 抵抗性 |
Outline of Annual Research Achievements |
1.いもち病菌がトマト茎葉部表面で付着器を形成し、感染糸を侵入させる条件の確立:イネいもち病菌(Pyricularia oryzae)P-2株を用い、分生子懸濁液をトマト葉や茎の表面に置いて感染挙動をとるか、すなわち、①分生子がトマト組織表面に付着するか、②分生子が発芽するか、③付着器を形成するか、④感染糸をトマト組織に侵入させるか、の各項目を観察評価したところ、付着までは確認できるものの、発芽~侵入が起きないことが判明した。これは当初想定した範囲内である。そのため、界面活性剤、イネ葉ワックス層構成成分(一部市販、その他は抽出)、酵母エキス(酵母エキスに付着器形成調節効果が報告されている)、その他殺菌剤やその減退を含む化合物を処理することで、いもち病菌の②~④の感染挙動をトマト組織で完遂させる条件の探索を開始した。 2.感染能を持つものの非あるいは弱病原性のいもち病菌菌株の選抜・確立:イネいもち病菌P-2株分生子懸濁液に、高深度LED-UV等の照射による突然変異誘導を行った。感染能を維持しつつも非あるいは弱病原性の株の選抜を開始した。 3.非・弱病原性株の形質転換による分泌型非病原力遺伝子SIX4タンパク質産生株の作出:非あるいは弱病原性のいもち病菌を形質転換して分泌型非病原力遺伝子SIX4タンパク質産生株を作出するため、いもち病菌に分泌型非病原力遺伝子SIX4タンパク質産生株を導入する系を確立した。 4.非病原性トマト萎凋病菌への分泌型非病原力遺伝子SIX4タンパク質の導入と萎凋病発病抑制効果試験:非病原性トマト萎凋病菌へ分泌型非病原力遺伝子SIX4タンパク質を導入、発現を確認するとともに、前接種による萎凋病抑制効果がSIX4タンパク質のプロモーターに依存することを見出した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
イネいもち病菌P-2株分生子懸濁液をトマト葉や茎の表面に置いて感染挙動をとるか、すなわち、①分生子がトマト組織表面に付着するか、②分生子が発芽するか、③付着器を形成するか、④感染糸をトマト組織に侵入させるか、の各項目を観察評価したところ、付着までは確認できるものの、発芽~侵入が起きないことが判明した。これは当初想定した範囲内であり、界面活性剤、イネ葉ワックス層構成成分(一部市販、その他は抽出)、酵母エキス(酵母エキスに付着器形成調節効果が報告されている)、その他殺菌剤やその減退を含む化合物を処理することで、いもち病菌の②~④の感染挙動をトマト組織で完遂させる条件の探索を開始しているがまだ条件確立に成功していないため。 また、イネいもち病菌P-2株分生子懸濁液に、高深度LED-UV等の照射による突然変異誘導を行い、感染能を持つものの非あるいは弱病原性のいもち病菌菌株の選抜・確立を試みているが、変異率が予想より低く、選抜が終了していないため。
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Strategy for Future Research Activity |
1.~3.を継続、平成27年度中にすべての成果を得る予定である。加えて、感染糸からのSIX4の分泌について、新たに作出するSIX4-GFP融合タンパク質形質転換体を用いて、観察し、当初の目論見通り、SIX4タンパク質が感染糸からトマト組織に分泌されていることを確認する。 4.SIX4タンパク質産生いもち病菌によるトマト萎凋病発病抑制の実証:2.および3.で作出するSIX4タンパク質を産生する非あるいは弱病原性のいもち病菌の分生子懸濁液を、1.で設定した感染条件で播種後約3週間のトマト茎葉部(理想は茎部)に処理する。その後、接種する萎凋病菌に対する発病抑制能があるかについて、トマトの地際付近の土壌に萎凋病菌(Fusarium oxysporum f. sp. lycperosociのレース1~3それぞれ)を灌注接種し、約4週間後に各植物体ごとに萎凋病の発病度を調査する。仮説は、「SIX4タンパク質産生いもち病菌を処理すると全レースで発病が抑制される」ことであり、この結果が得られた場合は「バイオマイクロシリンジ」の提案に成功したことを意味する。この研究項目では、さらに、SIX4タンパク質産生いもち病菌処理から萎凋病菌接種の期間を変更し効果を確認する実験を実施するとともに、局所的(葉表、葉裏、茎部等)な処理に依る効果の調査を併せて行なう。
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Causes of Carryover |
一部研究成果が予想通り得られていないため、非病原性あるいは弱病原性いもち病菌を分泌型非病原力遺伝子で形質転換するところまで至っていないため、ここで使用予定の物品費などが請求額に比較して少なくなった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成26年度に終了しなかった部分を鋭意遂行し、成果を得るため、平成27年度の請求額と併せて使用する。
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Research Products
(1 results)