2015 Fiscal Year Annual Research Report
新カテゴリー農薬創製を目指す種子死滅誘導性微生物生産物質の探索
Project/Area Number |
26660043
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Research Institution | Fukui Prefectural University |
Principal Investigator |
吉岡 俊人 福井県立大学, 生物資源学部, 教授 (10240243)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森本 正則 近畿大学, 農学部, 准教授 (10278731)
野村 卓正 仁愛大学, 人間生活学部, 准教授 (40362529)
木元 久 福井県立大学, 生物資源学部, 教授 (70283166)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 新カテゴリー農薬 / 種子死滅誘導物質 / 種子死滅予防微生物 / 雑草防除 / 土壌微生物 / 植物保護 |
Outline of Annual Research Achievements |
雑草防除で最重要なポイントは、土壌中の雑草種子数をいかに低減させるかである。しかし、殺種子作用をもつ農薬カテゴリーは存在しない。われわれは、土壌中におかれた雑草種子が、微生物作用で死滅する生態現象を見出した。この発見を背景として、種子死滅誘導活性を有する土壌微生物を単離し、殺種子剤創製のリード化合物あるいはリード生物を見出すことが本研究の目標である。 平成26年度には、種子が死滅する土壌をスクリーニングした。福井、秋田の植生が異なる64地点から採取した土壌にコハコベ種子を埋土したところ、秋田2地点、福井6地点の土壌で高い種子死滅が認められた。種子死滅の起こった土壌は、いずれも本来コハコベが生育する植生の土壌であった。また、種子死滅の起こった土壌ではほぼ全ての種子が死に、起こらなかった土壌では死滅種子はわずかであった。つまり、コハコベを死滅させる土壌微生物はコハコベの生育地点に限って存在し、存在すれば強力に種子死滅を引き起こすものと考えられる。 平成27年度研究では、種子死滅誘導活性を有する土壌微生物の単離方法と検定方法を確立した。単離のポイントは、土壌そのものでなく、土壌中で死滅初期段階にある雑草種子に存在する微生物をターゲットにすることである。確立した方法により、福井市の土壌から2種類のBacillus属細菌を選抜し、FK11-5-B、Fb7とした。FK11-5-Bは、菌培養液とその超音波破砕液ともにコハコベ種子を死滅させる作用を示した。これは、菌の生物的作用ではなく、菌が生産する物質によって種子死滅が誘導されたことを示している。また、Fb7は液体培養では種子死滅作用を示すが、固形培地で種子に感染させると、種子に内在する雑菌の繁殖を防いで、種子死滅の抑制に働いた。 以上の研究成果から、殺種子剤のリード化合物および種子死滅予防剤のリード微生物を探索するプロセスが明確になった。
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Research Products
(1 results)