2014 Fiscal Year Research-status Report
窒素施肥土壌のメタン酸化におけるアンモニア酸化細菌および古細菌の役割の解明
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26660052
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Research Institution | National Institute for Agro-Environmental Sciences |
Principal Investigator |
秋山 博子 独立行政法人農業環境技術研究所, その他部局等, 研究員 (00354001)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 温室効果ガス / メタン酸化 / 土壌 |
Outline of Annual Research Achievements |
好気的な土壌は温室効果ガスであるメタン(CH4)の吸収源である。アンモニアモノオキシナゲナーゼ(AMO)はCH4酸化も行うことが知られているが、土壌中で実際にCH4酸化を主に担っているのはメタンモノオキシゲナーゼ(MMO)であり、AMOによるCH4酸化は無視できると考えられてきた。しかし我々は最近、窒素施肥土壌におけるCH4酸化は、メタン酸化菌ではなく主にアンモニア酸化菌が担っている可能性を示唆するデータを得たが、同様の現象の報告例はなく、窒素施肥土壌で一般的な現象であるかどうかをさらに検証する必要がある。このため、農耕地土壌のCH4酸化におけるアンモニア酸化細菌の役割を明らかにすることを目的として実験を行った。 黒ボク土壌の堆肥長期連用圃場、化学肥料長期連用圃場、同圃場隣接の森林土壌を用いた土壌コアのインキュベーション実験を行った。本圃場は淡色黒ボク土、農研機構内圃場)は施肥歴が大きく異なるためにamoA存在量が大きく異なることが最近明らかになっている(Shimomura et al., 投稿準備中)。本圃場は土壌の物理性はほぼ同じでamoA存在量が異なることから、物理性の影響を除外したうえでアンモニア酸化とCH4酸化との関係を調査するのに適していると考えられる。 土壌コアを採取した翌日に大気CH4濃度でのCH4酸化能の測定を行った。またCH4酸化能測定終了後の土壌を用いてアンモニア酸化能を測定した。その結果、CH4酸化能とアンモニア酸化能の間に明瞭な関係は見られなかった。来年度はさらに異なる種類の土壌コアを用いてインキュベーション実験を行い、CH4酸化能とアンモニア酸化能の関係を明らかにする必要があると考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成26年度は、予定通り土壌インキュベーション実験を行い、今回用いた黒ボク土土壌の長期連用圃場においては、CH4酸化能とアンモニア酸化能の間に明瞭な関係は見られないことを明らかにした。 上記のことから、計画通り順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度の結果から、黒ボク土の長期連用圃場においては、CH4酸化能とアンモニア酸化能の間に明瞭な関係は見られないことを明らかになったため、平成27年度は、異なる種類の土壌コア(黒ボク土、黄色土、灰色低地土)を用いてインキュベーション実験を行い、CH4酸化能とアンモニア酸化能の関係を明らかにする。両者に相関関係がみられた場合には、amoA存在量を測定する。これにより、CH4酸化におけるアンモニア酸化菌の重要性を明らかにする。
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Causes of Carryover |
平成26年度においては、予定通り土壌インキュベーション実験を行った結果、当該年度に使用した黒ボク土長期連用圃場においてはメタン酸化とアンモニア酸化ポテンシャルとの間に相関がみられなかった。このため定量PCR等の解析はは実施せず、物品購入が予定よりも少なくなった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成27年度は、多種類の土壌におけるメタン酸化とアンモニア酸化ポテンシャルの関係を調査するために、平成26年よりも多くの土壌コアを用いて実験を行う。また両者に相関がみられた場合には定量PCRも行う。このための物品費等として使用する予定である。
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