2015 Fiscal Year Research-status Report
Microbial degradation of bioactive substance from turmeric
Project/Area Number |
26660055
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
小林 達彦 筑波大学, 生命環境系, 教授 (70221976)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
熊野 匠人 筑波大学, 生命環境系, 助教 (70585025)
橋本 義輝 筑波大学, 生命環境系, 准教授 (00323254)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 微生物 / 酵素 |
Outline of Annual Research Achievements |
クルクミンはウコンに含まれる黄色色素で、薬理作用を有するポリフェノールの一種である。クルクミンからジヒドロクルクミン(DHC)を経由してテトラヒドロクルクミン(THC)に変換される経路は同定されているものの、その変換反応に関わる酵素は(微生物からヒトに至るすべての生物において)同定されていなかった状況の中、我々は、微生物によりクルクミンの代謝産物を得ることを目的として研究を行い、大腸菌がクルクミンをDHCやTHCに変換することを見いだした。本研究では、ヒト(腸内細菌を含む)がもつクルクミン代謝経路のほかに、環境中の微生物が担う代謝経路を解明し、より多様なクルクミン代謝産物の同定およびその合成を目指す。 (昨年度、同定が完了した)大腸菌とは異なるクルクミン代謝活性を示す微生物(以下、本菌とする)のクルクミン変換活性を高めるべく、本菌の培養条件の検討を行い、最適培養条件を確立した。この条件において本菌を培養し、各種クロマトグラフィー操作によりクルクミン代謝酵素の精製を試みた。しかし、クルクミン代謝酵素は精製の過程で活性を失うことが判明したため、各種金属や化合物などの添加効果を検討し、活性を回復し得る化合物を見いだすことに成功した。引き続き、本酵素の精製を試みたものの、本酵素の不安定さのため難航した。現在、最適培養条件で本菌を培養し、予備的検討ながら複数ステップのクロマトグラフィー操作によって、クルクミン代謝酵素をSDS-PAGE上で単一バンドになるまで単離精製することに成功した。しかし、精製酵素の収率が著しく低い問題点が残っているため、様々な条件検討を行うことで、本酵素の精製収率の増加方法の確立を目指したが、現在まで、本酵素の大量調製法の確立には至っていない。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本菌の培養条件を検討し、クルクミン変換活性が高くなる培養条件を決定した。さらに、精製過程で低下する本菌の酵素活性を回復する化合物を発見することで、本酵素の精製を継続することが可能となった。各種クロマトグラフィーを試すことにより、予備的検討ながら精製した単一バンド標品を得ることができた。本酵素は極く微量しか精製できないため、今後、クルクミン代謝酵素の精製方法の再検討などを行う必要があるものの、おおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
複数のクロマトグラフィー操作によりクルクミン代謝酵素を精製することができたが、精製酵素の収率が著しく低いためクルクミン代謝酵素の精製方法の再検討を行う予定である。精製酵素の収率が増加する精製方法が確立できれば、その条件で大量精製を繰り返すことで、本酵素の諸性質を調べるのに必要な酵素量を獲得し、精製標品を用いて、本酵素の物理学的・酵素科学的諸性質を決定する予定である。 また、精製した酵素を用いてN末端部分アミノ酸配列および内部部分アミノ酸配列を決定し、その情報を基にオリゴヌクレオチドプライマーを作成し、クルクミン代謝活性を示す微生物の染色体DNAを鋳型として、サザンハイブリダイゼーション法等により構造遺伝子全長をクローニングする予定である。
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Causes of Carryover |
クルクミン代謝酵素は精製の過程で活性を失うが活性を回復し得る化合物を発見した。本酵素の精製を試みたものの、本酵素の不安定さのため難航した。現在、予備的検討ながら単一バンド標品を得たところであるが、諸性質の解析に必要な量は精製できず補助事業期間内で諸性質の解明は不可能となった。今後、大量培養し、大量に精製した酵素を用いて本酵素の諸性質を解析することが必要となったので未使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
上記の計画に必要な、分析用試薬、HPLCカラム類、精製用クロマトグラフィーカラム、ガラス類、プラスチック類などの消耗品の購入として使用する計画である。
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