2014 Fiscal Year Research-status Report
非メバロン酸経路中間体を基質とするプレニル基転移酵素の探索と高分子合成への応用
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26660060
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
邊見 久 名古屋大学, 生命農学研究科, 准教授 (60302189)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | イソプレノイド / カロテノイド / プレニルトランスフェラーゼ / 非メバロン酸経路 / メバロン酸経路 |
Outline of Annual Research Achievements |
Corynebacterium glutamicumにおいてC50カロテノイド生合成に関わるプレニルトランスフェラーゼの1つ、リコペン伸長酵素CrtEbが触媒する反応を明らかにするため、同菌のカロテノイド生合成系を大腸菌において再構成した。その結果、CrtEbの反応生成物であるフラブキサンチンの合成を確認できた。この大腸菌に酵母由来メバロン酸経路を導入した上で、各種濃度の阻害剤FR-900098を用いて大腸菌内在の非メバロン酸経路を段階的に阻害し、カロテノイド生産に与える影響を調べた。その結果、阻害の程度が進むにつれて大腸菌の生育が悪化し、メバロン酸経路による相補が十分でないことが明らかになった。しかし、部分的な阻害の結果として、生産される複数のカロテノイドの量比の変化も観察でき、CrtEbのプレニルドナー基質に関する情報が得られつつある。現在はより正確な情報を得るため、メバロン酸経路による相補の改善と非メバロン酸経路の遺伝子破壊実験を進めている。 また、非メバロン酸経路の中間体がCrtEb以外のプレニルトランスフェラーゼのプレニルドナー基質となりうるか否かを確認し、一部の酵素で反応の進行を確認した。この知見をもとにすれば、既知の生合成経路を人工的な代替経路で置き換えることで、将来的にイリドイド化合物などの生産が可能となるかもしれない。今後は各酵素と同中間体の反応性を評価するため、速度論的な解析を進める予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予定した研究を進めることができており、結果も出ている。遺伝子破壊のみ予定通りには進んでいないが、相補条件の検討を進めており、改善が期待される。
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Strategy for Future Research Activity |
CrtEbのプレニルドナー基質に関しては、よりはっきりした証拠を求めて大腸菌の遺伝子破壊実験を進めていきたい。また、それ以外の複数のプレニルトランスフェラーゼで、一般的なプレニル二リン酸以外の基質がドナーとなることが示せている。そのような反応の生成物は合成中間体として将来的な応用可能性があり、構造決定を行いたい。それと共に、同プレニルドナー基質の反応性を速度論解析によって調べ、生体内での反応が可能か否かを評価したい。結果次第では、遺伝子操作を施した大腸菌による合成中間体の生産を試みたい。また、これまでの調査では見つかっていないものの、非メバロン酸経路同士の縮合を触媒するプレニルトランスフェラーゼについても探索を続けたい。
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Causes of Carryover |
遺伝子破壊実験が進まなかったため、その後の実験が行えず、予定より支出額が少なかった。また、学会発表に至らなかったので旅費の支出もなかった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
化合物の分析や構造決定のため昨年度未使用であった物品費を使用する。また、学会発表で旅費を、論文執筆に伴う英文校閲で謝金を、投稿料でその他の経費を支出する。
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