2015 Fiscal Year Annual Research Report
体腔形成細菌の新規な金属輸送機構の解明とその放射性物質・レアメタル回収への応用
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26660062
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
橋本 渉 京都大学, (連合)農学研究科(研究院), 教授 (30273519)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
村田 幸作 摂南大学, 理工学部, 教授 (90142299)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | アルギン酸 / 金属結合タンパク質 / Sphingomonas属細菌 / レアメタル |
Outline of Annual Research Achievements |
酸性多糖アルギン酸を資化するSphingmonas属細菌A1株の細胞表層に発現する金属輸送Efe系タンパク質Algp7に焦点を当て、その各種金属に対する結合性を解析した。 Algp7の金属結合によるタンパク質の熱変性挙動(differential scanning fluorimetry: DSF)を調べた。DSF法は、リガンド存在下或いは非存在下で、タンパク質と蛍光色素SYPRO Orangeとを混合し、加熱することによりその熱変性の変化(融解温度Tm)を評価するものである。一般に、リガンドと結合したタンパク質は、非結合タンパク質と比較すると、構造安定化により高い融解温度を示す。すでに、Fe2+、Fe3+、Zn2+、Cu2+の存在下で、Algp7の融解温度が上昇することを確認している。そこで、各種レアメタル(Pd2+、Sm3+、Pt2+、Tl3+など)を0.1 mM存在下で、Algp7の熱変性を調べた。その結果、Sm3+とTl3+の存在下で、Algp7の融解温度が上昇した。レアメタル非存在下では、Tm値は54度であったが、Sm3+存在下では67度、Tl3+存在下では63度と有意にTm値が上昇した。さらに、Sm3+の濃度を変化させて融解温度を測定したところ、濃度依存的に融解温度の上昇が認められ、0.05 mM以上で一定値に達した。一方、過去にSm3+との結合が見られた他のタンパク質XLYについて同様の実験を行ったところ、XLYはAlgp7ほど、Sm3+による融解温度の上昇を示さなかった。これらのことから、Algp7はある種のレアメタルと強固に結合することが示唆された。 Algp7の金属結合性について、さらに原子吸光スペクトル法でも解析した。Algp7とFe3+またはCu2+とを混合し、透析により金属イオンを除去し、Algp7と結合する金属イオンを定量した。その結果、透析後のAlgp7の画分に、Fe3+またはCu2+が残存することを確認することができた。 以上の結果から、細胞表層に発現するAlgp7を用いて、レアメタルを含む各種金属を回収できる可能性が得られた。
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