2016 Fiscal Year Annual Research Report
Application of eicosapentaeonic acid-containing phospholipids as a lipophilic protein chaperone
Project/Area Number |
26660065
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
川本 純 京都大学, 化学研究所, 助教 (90511238)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | エイコサペンタエン酸 / 低温菌 / リン脂質 |
Outline of Annual Research Achievements |
エイコサペンタエン酸(EPA)は、炭素差張 20 で 5 つの非共役二重結合を有する高度不飽和脂肪酸である。EPA は、人の血管系疾患の発症リスクを軽減するといった有益な効果を有する生理活性脂肪酸であり、積極的な摂取が推奨されている。EPA は、細菌から高等生物に至る多様な生物の細胞膜リン脂質のアシル鎖として存在するが、EPA の生理機能発現メカニズムの詳細は明らかにされていない。本研究では、EPA 含有リン脂質の生合成に関与するアシル基転移酵素の細胞内局在に着目した。南極海水より単離されたグラム陰性細菌 Shewanella livingstonensis Ac10 は、低温誘導的に EPA 含有リン脂質を生産する。本菌において EPA はリン脂質の sn-2 位に存在した。グラム陰性細菌のリン脂質生合成において、sn-2 へのアシル鎖転移は PlsC によって触媒されることが知られている。本菌の全ゲノム情報から、Ac10 は PlsC1 から PlsC5 までの5種類の PlsC を有していることがわかった。それぞれの PlsC 遺伝子破壊株を作製し、リン脂質組成を解析した結果、PlsC1 が本菌における EPA のアシル基転移を担うことが明らかとなった。Ac10 における EPA 含有リン脂質の作用機序を明らかにするために、本酵素を認識する抗 PlsC1 抗体を調製し、免疫染色を行い、PlsC1 の細胞内局在を解析した結果、PlsC1 は顆粒状の局在を示し、細胞内に点在することがわかった。一方で、大腸菌由来の PlsC の His タグ融合タンパク質を Ac10 を宿主に発現し、抗 His タグ抗体で免疫染色した結果、PlsC1 とは異なり細胞全体に分散していたことから、本菌の PlsC1 は細胞内に不均一に存在し、EPA 含有リン脂質を合成していることが示唆された。
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Research Products
(1 results)