2015 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
26660076
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
加藤 創一郎 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 生物プロセス研究部門, 研究員 (30597787)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 微生物 / 概日リズム / 根圏微生物 / 土壌微生物 / ウキクサ / 根粒菌 |
Outline of Annual Research Achievements |
多くの生物は概日リズムを有し、外界の周期的変動を予測し適応している。しかし原核生物においては、シアノバクテリアなどの光合成微生物のみでしか概日リズムの存在が実証されていない。光以外にも温度や栄養源供給などが周期変動する環境は普遍的に存在することを考えると、暗所に生きる非光合成微生物にも概日リズムを持つことの進化的メリットが多分にあるはずである。本研究では以下の2種類の実験を通して、非光合成微生物の持つ未知の概日リズムを実証することを目的とした。 (1)シアノバクテリアの時計遺伝子(KaiC)ホモログを持つ微生物における概日リズムの実証実験 kaiCホモログを持つ根圏微生物として根粒菌Bradyrhizobium sp. BTAi1株を用いた。この菌はkaiCホモログを2コピー持つため、pK18mobsacBを用いた相同組み換えにもとづく遺伝子破壊法をそれぞれのコピーに対し行いkaiC二重破壊株を作成することに成功した。KaiC破壊株と野生株は各種条件での生育には差がみられなかったが、明暗サイクルを変化させた場合のバクテリオクロロフィル産生量に有意な差がみられ、KaiC遺伝子がこの微生物の概日時計に関与している可能性が示唆された。 (2)日周変動環境で良好に生育する微生物の集積培養、純粋分離 人為的に日周変動を与えるため、(A)周期的に温度を変化させる条件での土壌微生物群を集積培養、(B)周期的に明暗環境を変化させた条件でウキクサを培養しその根圏微生物を集積培養、の2種類の実験をおこなった。Aの実験では、温度サイクルの違いにより微生物群集構造は明確に変化し、Pseudomonas属、Flavobacterium属細菌の一部が12時間周期での温度条件下でのみ有意に優占化していた。Bの実験では、明暗サイクルの違いによりウキクサ根圏微生物群集構造は明確な差がみられ、12時間周期の明暗培養時にのみ優占する微生物種としてSediminicoccus属、Rhodococcus属細菌などが同定された。
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