2014 Fiscal Year Research-status Report
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26660082
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
上田 卓也 東京大学, 新領域創成科学研究科, 教授 (80184927)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 光合成 / バクテリオロドプシン / 膜蛋白質 |
Outline of Annual Research Achievements |
バクテリオロドプシンとFoF1-ATP合成酵素を組み込んだ(BR-FoF1)リポソームベースのバイオナノリアクターの構築をまず行ない、次いでRubisCo複合体の構築とRibulose 1,5-bisphosphateを発現させ、両者を連携させることで、光照射に起因したATP合成から、RuBisCoのカルボキシラーゼ活性によるCO2の固定化までを連続して行なえるシステムを構築することを本研究の目的としている。本年度は、バクテリオロドプシンとFoF1-ATP合成酵素を組み込んだ(BR-FoF1)リポソームベースのバイオナノリアクターの構築をを進めた。 PURE systemによりFoF1-ATP合成酵素の全サブユニットをリポソーム上に発現させ、合成されたATP合成酵素が十分な活性を有していることを見いだした。また各サブユニットのDNA量の最適化も完了した。バクテリオロドプシンについては、リチナールのスペクトルからナノディスク上には活性を有した形で挿入されていることが示されたが、リポソーム上では明確なスペクトルを測定することができなかった。リポソームの調製法の検討が必要であることが示された。また、脂質の組成についても検討が必要であることがあきらかとなり、さまざまの脂肪酸からなる脂質を用いてバクテリオロドプシンの活性を検討に着手した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
バクテリオロドプシンと脂質との組み合わせにおいてその活性の最適化がまだ不十分であり、その点で若干の遅れがあるが、ほぼ目標は達成できていると判断している。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、RubisCOをPURE systemをもちいて試験管内で合成する。ホウレン草などに見られるFormIのRubisCOは分子量約55 kDaの大サブユニット(RbcL)8コと、分子量約18 kDaの小サブユニット(RbcS)8コの計16量体のへテロ複合体である。無細胞系における複合体形成の成功例として、FoF1のF1複合体がある。しかし、合成後蛋白質の自発的な複合体形成の効率は高いとはいえず、何かしらの補助因子が必要となる事が示唆されている。2010年ドイツのHayer-Hartl等のグループによって、FormIのRubisCOの複合体形成にはGroEL/ESシャペロニンによる不可逆的凝集低形成からの保護と、RbcX2と言われるプライベートシャペロンの立体構造形成補助が必要である事が明らかになった(Hayer-Hartl et al. 2010 Nature)。この報告を受けて、PURE system反応液に精製GroEL/ESとRbcX2を導入した状態でRbcLとRbsSの合成を行ない、活性を保持した複合体の形成を試みる BR-FoF1バイオナノリアクターの構築と、②RubisCoの無細胞合成が確認できた後は、この両者が連続した反応として機能するよう統合する。つまり、光の照射によるリポソーム内へのH+勾配の形成、それに依存したFoF1によるH+輸送依存的なATPの合成、ATPとRubisCOさらにその下流の酵素(phosphoglycerate kinase、 glyceraldehyde phosphate dehydrogenaseなど)によるGlucoseの合成までが一連して行なわれるよう系を調整する(図2)。RubisCOより下流の酵素群についてもPURE systemで合成する。
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Causes of Carryover |
3月に予定していた実験について一部の試薬の納入が遅れたために若干の残金が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
遅れていた実験を年度初めに行い、すべて使用する予定である。
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