2015 Fiscal Year Research-status Report
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26660092
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Research Institution | National Agriculture and Food Research Organization |
Principal Investigator |
今井 亮三 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 生物機能利用研究部門・遺伝子利用基盤研究領域, 主席研究員 (90291913)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 雪腐病 / 糖転移酵素 / セルロース / 植物病害菌 |
Outline of Annual Research Achievements |
紅色雪腐病菌におけるAgrobacteriumを介した形質転換系を開発し,それを用いてセルロース合成酵素候補遺伝子MnCSL1及びMnCSL2の破壊株を作出した.破壊株におけるMnCSL1, MnCSL2遺伝子の発現をRT-PCRで確認したところ,何れの株においても発現のノックアウトが確認された.これらの変異株における菌体外多糖の蓄積を調べたところ,野生株と比較し蓄積量の変化が見られなかった.またMnCSL1, MnCSL2遺伝子の発現を,菌体外多糖生産ステージと,分解ステージで比較したところ,多糖生産と遺伝子発現レベルに相関が見られなかった.以上の結果より,MnCSL1, MnCSL2は共に紅色雪腐病菌の菌体外多糖の生合成に関与していないのではないかと考えられた.次に,RNAseq解析により菌体外多糖生産ステージ及び分解ステージにおける発現遺伝子のゲノムワイド解析を行い,多糖生産と相関して発現する遺伝子を同定した.この中で糖転移酵素(GT)ファミリーに属する遺伝子に注目したところ,機能未知の糖転移酵素をコードするPS1, PS3の2つの遺伝子が同定された.現在,Agrobacterium法によりPS1および,PS2が破壊された変異体を作出している.また一方で,生産される多糖の構造解析を行ったところ,β-1,4以外の結合も含まれている可能性が示唆された.この多糖がセルロースであるのかミックスグルカンなのか今後詳細に検討する必要がある.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
雪腐病菌における遺伝子破壊系の開発に成功したものの,予想以上に困難であり,時間を要した.また,当初候補となっていたCSL1, CSL2について,変異株が多糖合成に変化を示さなかったことから,別の候補遺伝子を解析することにしたため進行が遅れている.
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Strategy for Future Research Activity |
今後は作出された変異体の多糖合成に関して解析を進めるとともに,リンケージ解析等により菌体外多糖の構造を解析する必要がある.
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Causes of Carryover |
本研究は,紅色雪腐病菌という積雪下で繁殖する特殊な糸状菌を対象として,セルロース生合成遺伝子を,候補遺伝子のノックアウト変異体を取得して利用することになっている.しかしながら雪腐病菌においてはこれまで遺伝子組み換えやノックアウトを行った事例はなく,遺伝子導入系の開発に,想定以上の時間がかかってしまった.そのため,候補遺伝子のノックアウトが一部しか実行されていない.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
ノックアウト体の取得と,その菌体外多糖の定量並びに組成解析を行うための実験に使用する
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Research Products
(1 results)