2014 Fiscal Year Research-status Report
初の抗カロテノイド抗体の作製と組織・細胞内局在の可視化による作用点の解明
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26660094
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
山下 まり 東北大学, (連合)農学研究科(研究院), 教授 (50192430)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | カロテノイド / フコキサンチン / 抗体 / フコキサンチノール |
Outline of Annual Research Achievements |
カロテノイドは、抗酸化、抗腫瘍、免疫の賦活化など重要の生理作用が知られるが、その作用メカニズムは未解明な部分が多い。これまでのカロテノイドの吸収、蓄積、作用の研究では、主としてカロテノイドを抽出して分析する方法がとられてきた。そこで、カロテノイドを認識する抗体ができれば、細胞や組織内での分布や作用機構の解明に役立つのではないかと考え、抗カロテノイド抗体作製を目指し、まず褐藻や珪藻の主要カロテノイドである、フコキサンチン(Fucoxanthin)およびフコキサンチノール(Fucoxanthinol)に対する抗体の作製を行なった。フコキサンチンおよびフコキサンチノールを化学誘導し、KLH-conjugateを作製した。これらを抗原としてそれぞれウサギを免疫し、ポリクローナル抗体を作製した。タンパク質との複合体形成反応は、まずBSAを用いて行ない、MALDI-TOF MSや電気泳動でBSA-conjugateの分子量を分析して結合していることを確認した。作製した抗血清より、それぞれアフィニテイカラムで精製した抗体を用いて、フコキサンチンやフコキサンチノールを含む5種のキサントフィル類との競合ELISAを行い、反応性を比較した。その結果、抗フコキサンチン抗体は、フコキサンチンを特異的に認識し、他のキサントフィルの認識は低いことがわかった。また、抗フコキサンチノール抗体はフコキサンチン抗体に比べて反応性は低いが、フコキサンチノールを特異的に認識した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
フコキサンチンおよびフコキサンチノールを収率よく化学誘導してカルボン酸を導入できた。また、その誘導体は緩衝液中での溶解性が低く、扱いにくい化合物であったが、詳細にタンパク結合反応の条件を検討し、最終的にBSA1分子中の反応可能な36個のリジン残基のうち、6-8個にアミド結合できたことをMaldiTOF MSで確認できた。また、同様の条件でKLH-conjugateを作製して抗原とし、ウサギでフコキサンチンとフコキサンチノールのポリクローナル抗体を作製し、BSA-conjugateを抗原としたELISAを行い、良好な抗体価が得られた。また、競合ELISAでは、フコキサンチン抗体はフコキサンチン単体を特異的に認識し、他のキサントフィルとの交差反応は低かった。また、フコキサンチノール抗体も同様に作製し、フコキサンチン抗体より反応性が低かったが、フコキサンチノールに対する特異的な反応性はみられた。また、アスタキサンチンについても同様の手法で、抗体を作製した。このことから、順調に成果が上がっていると考えられた。
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Strategy for Future Research Activity |
1.今後は本研究で作製したフコキサンチン抗体の応用について重点的に検討する。これまで、細胞での免疫染色を試みたが、カロテノイドは脂溶性が高いため、有機溶媒での洗浄時に流れ落ちてしまい、うまく染色できなかった。そこで、免疫染色ではなく、未精製のフコキサンチンの定量に使用することにした。予備実験では、本抗体はフコキサンチンを血液中でも緩衝液中と同様にELISAで認識することを確認した。今後、詳細な条件検討を行い、方法を確立する。また、褐藻や珪藻では、フコキサンチンは光合成に関わり、タンパク質と複合体を形成している。本抗体を用いて、その複合体を検出できるかどうかを検討する。 2.さらに強く低分子のカロテノイドを認識する抗体を作製するために、カロテノイド分子全体ではなく、一部を用いてタンパク質と結合し、カロテノイドをどのように認識するかを調べることとし、現在抗原の作製を進めている。これまで蓄積したタンパク質との結合反応におけるノウハウを用いて抗原を作製してウサギを免疫し、ハプテンとしてカロテノイドの分子全体を用いた場合と、部分のみを用いた場合とを比較して、どのようにカロテノイドを認識するのか競合ELISAを行い、評価する。
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Causes of Carryover |
本実験に使用する、プレートリーダー、NMR, MSなどの装置や消耗品は本年度は大きなトラブルがなかったが、その分次年度でトラブルが発生し修理費や買い替えが必要になる可能性がある。そのため、次年度使用額を生じさせた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
プレートリーダーなど装置に若干不具合が出始めているので、修理をするか買い替えに使用したい。また、依託免疫を多く行ないたいのでそれに予算を使用する。また、それに伴い、ELISAなどに用いる消耗品も多く必要なので、それらに支出する計画である。
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Research Products
(40 results)
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[Journal Article] A High-Throughput Screen for Inhibitors of the Prolyl Isomerase, Pin1, Identifies a Seaweed Polyphenol that Reduces Adipose Cell Differentiation2014
Author(s)
Mori, Tadashi; HIDAKA, Masafumi; Ikuji, Hiroko; Yoshizawa, Ibuki; TOYOHARA, Haruhiko; Okuda, Toru; Uchida, Chiyoko; Asano, Tomoichiro; Yotsu-YAMASHITA, Mari; UCHIDA, Takafumi*
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Journal Title
Bioscience, Biotechnology, and Biochemistry
Volume: 78
Pages: 832-838
DOI
Peer Reviewed
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[Presentation] Analysis of polycavernoside A in the red alga Gracilaria edulis that caused previous fatal food poisonings in Guam and Philippines, The 16th International conference on Harmful Algae2014
Author(s)
○Mari Yotsu-Yamashita, Kosuke Maeta, Yuki Taya, Eri Omizu, Takahide Endo, Yuko Cho, Keiichi Konoki, Mirriam A. Cayme, Yasuo Fukuyo, Sherwood Hall, Takeshi Yasumoto
Organizer
16th International conference on Harmful Algae
Place of Presentation
Wellington, New Zealand
Year and Date
2014-10-27 – 2014-10-31
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