2016 Fiscal Year Research-status Report
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26660096
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Research Institution | Toyama Prefectural University |
Principal Investigator |
奥 直也 富山県立大学, 工学部, 講師 (90525388)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | ツチガエル / Glandirana rugosa / rugosamarin A / gaegurin 6 / ヘビ忌避 / dihydro-beta-ionone / 体表分泌物 |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度に引き続き、ツチガエル電極刺激時に発散する特有臭の捕集法に取り組んだ。カエルを逆さにした漏斗と通電したアルミ箔被覆ガラス板に閉じ込め、開口部から逆相吸着剤による体表近傍の雰囲気を捕集したが、GC-MS分析での成績は好ましくなかった。そこでまず体表分泌物を濾紙に吸い取り、これを逆相吸着剤とともに小バイアルに密閉して雰囲気を吸着させ、微量のn-pentaneで抽出して分析した結果、幾つかの特徴的な主成分が検出できた。このうちdihydro-beta-iononeについては、標品を入手し、官能検査に供したが、フローラルな香りであり、ツチガエル特有臭とは異質だった。ツチガエルの特有臭は、一成分によるものではなく、多成分により構成されるものである可能性が示唆された。 ツチガエル体表分泌物中のヘビ忌避作用を担うと予想されるgaegurin 6様苦味ペプチドrugosamarin A (ツチガエル種小名 rugosa + ラテン語「苦い」amaraより命名) + と命名)の完全構造配列決定に向けて、前年度に得た予想配列のペプチド10 mgを委託合成した。また、ペプチドでのヘビ捕食阻害実験の実施に向けて、ペプチドの大量供給法を確立すべく、共同研究者の富山県立大学 磯貝泰弘准教授により遺伝子工学手法でペプチドを合成する手法が確立された。今後、これらをフォールドさせ、天然物との同等性をHPLC分析およびNMR、MSなどの機器分析により確認する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
特有臭の同定が予定通りに進んでいない。分析対象が季節限定の試料である上、臭いの捕集法を確立する必要があったことが理由である。また、当初の想定とは異なり、特有臭が構成的に発現する可能性があり、複数成分の同定が必要となったことも挙げられる。 また、授業準備や大学運営業務が増え、研究計画時のエフォット計算とずれが生じたことも、本評価に繋がっている。 そこで補助事業期間の延長を申請し、研究計画の修正を行った。
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Strategy for Future Research Activity |
ツチガエル電気刺激時の特有臭の同定に向けて、H28年度に確立した臭い捕集法を用いて複数個体の臭気成分を分析し、共通する成分の構造決定と官能検査を行う。 またペプチドの構造確認のため、化学合成物とのクロマト比較や機器分析を行うとともに、ヘビ捕食阻害実験に必要な量を確保するため、共同研究者が構築した発現系により、苦味ペプチドの大量調製を行う。
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Causes of Carryover |
H28年度はツチガエル体表分泌物中の特徴臭成分の同定に取り組んだが、匂い成分を捕集する手法の確立が難航した。体表分泌物の分泌は一度きりの上、研究期間は試料を捕獲できる時期(5月から8月)に限られているため、捕集法が確立できた時はシーズン終盤に差し掛かり、一検体の分析しか出来なかった。また、分析装置は他研究室の装置を使わせてもらっており、空き時間のみ利用可能であった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
未使用額は複数個体の匂い成分の分析、苦味ペプチドの大量調製とヘビ捕食阻害実験、および研究成果の報告のために使用する。
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Research Products
(6 results)