2014 Fiscal Year Research-status Report
タイプIVポリケタイド合成酵素の発見と触媒メカニズムの解明
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26660097
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Research Institution | University of Shizuoka |
Principal Investigator |
鮒 信学 静岡県立大学, 食品栄養科学部, 准教授 (70361574)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | ポリケタイド / 放線菌 |
Outline of Annual Research Achievements |
放線菌のゲノム上にコードされるFab様蛋白質が新規タイプのポリケタイド合成酵素(PKS)であることを証明する。 Streptomyces coelicolor A(3)2の脂肪酸合成酵素(FabFとFabH)、S. coelicolor A(3)2のtype II PKS(actinorhodin KSとCLF)、type I PKS(erythromycin合成酵素eryA1のKS)、 S. griseusのtype III PKS(RppA)遺伝子およびFab様蛋白質に対し系統樹解析を行った。その結果、Fab様蛋白質はI型、II型、III型PKSおよび脂肪酸合成酵素とは異なるクレードを形成した。放線菌S. coelicolor M1146をホストとし、Fab様蛋白質を高発現させ、その培養上清をHPLCで分析した。その結果、空ベクターの形質転換体の培養上清にはない化合物のピークが複数検出された。また、これらの化合物はFabFの高発現株の上清にも存在しなかった。これらの化合物を順相および逆相クロマトグラフィーにより精製し、NMRおよび高分解能MS解析を行った。その結果、Fab様蛋白質の形質転換体が生産する化合物の構造を決定した。 Fab様蛋白質は放線菌生体内においてβケト酸のアシルキャリアプロテイン(ACP)エステルをスターター基質に用いると考えられる。そこでACPのアナログであるN-acetylcysteamine(NAC)を用い、3-oxo-C8-NACを用いてin vitro試験を行った。スターター基質3-oxo-C8-NACと伸長鎖基質を大腸菌組換えFab様蛋白質と共に反応させたところ、目的のポリケタイドを与えた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
平成26年度はFab様蛋白質の異種発現と組換え放線菌が蓄積する化合物の構造決定を目的としていた。本計画通り、Fab様蛋白質組換え放線菌から6種のポリケタイドを単離し、LC-ESIMS、各種NMR解析により構造を決定した。 平成27年度以降はFab様蛋白質のin vitro反応を計画しているが、平成26年度に前倒しで研究をスタートさせた。その結果、基質アナログを用いた反応ではあるが、in vitro反応の再構築に成功した。 以上より平成26年度の研究は計画以上に進展していると結論できる。
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度の研究でin vitro反応の再構築に成功したが、これは基質アナログを用いた反応である。平成27年度は、Fab様蛋白質の生体内における基質を調製し、in vitro反応を再構築する。生体内基質とは、βケト酸のアシルキャリアプロテイン(ACP)エステルのことである。βケト酸のACPエステルは脂肪酸合成酵素により生合成されるため、βケト酸のACPエステルを調製するためには脂肪酸合成経路の一部をin vitroで再構築する必要がある。既に脂肪酸合成経路の再構築に着手しており、必要な酵素群を大腸菌および放線菌から調製している。
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