2015 Fiscal Year Research-status Report
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26660113
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
井内 良仁 山口大学, 農学部, 准教授 (60272069)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 昆虫食 / 機能性評価 / メタボ抑制 / アスタキサンチン合成 |
Outline of Annual Research Achievements |
昆虫食の持つメタボリックシンドローム(以降メタボ)予防効果について検証するため、高脂肪食を食べさせつつ同時にトノサマバッタ(以降バッタ)を与えた。対照群には、カロリーを等しく調節した高脂肪食+通常食を与えた。その結果、バッタを与えたグループでは、対照群よりも体重が軽く、特に肝臓と内臓脂肪が有意に軽かった。また肥満度と比例する血中レプチンの値が顕著に低かった。この結果は、昆虫食がメタボ抑制効果を持つことを初めて示した成果である。 一方、高脂肪食を一定期間食べさせたあとに、バッタ粉を10%混ぜた通常食(バッタ食)と成分をそろえた通常食(対照食)を食べさせ、体重の増減を観察したところ、両群で差が見られなかった。これは、高脂肪食と同時にバッタ食を摂取することが重要であることを示しており、昆虫食のメタボ予防効果は脂肪吸収抑制効果によるものである可能性が示唆された。 またメタボ抑制効果を発揮した機能性成分について、バッタを含めた数種の昆虫についてカロテノイドに注目した分析を行った。様々な機能性が指摘されているアスタキサンチンとβカロテンについてHPLCを用いて定量を行った。トノサマバッタをはじめとする多くの昆虫種がこれらの成分を含有することが分かったが、セミには存在しなかった。食草から摂取して体に蓄積していると仮定し検証を行った結果、食草にはβカロテンその他は存在するがアスタキサンチンはほとんど無かったことから、草食昆虫は食草からβカロテンを摂取し、体内でアスタキサンチンを合成している可能性が示唆された。 アスタキサンチン合成は微生物以外の動物ではほとんど知られておらず、更に検証を加えることで昆虫の産業利用価値がさらに高まる可能性がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
予備実験を行っていたことにより、計画通り実験を行うことが出来ている。さらに良い意味で予測を裏切る結果を得ることができており、さらなる研究の発展が期待できる。
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Strategy for Future Research Activity |
昆虫食のメタボリックシンドローム抑制に決定的に関与する機能性成分を同定するため、さらなるマウスへの食餌実験ならびに、その際のマウス遺伝子の発現解析が必要となる。また、微生物以外では全く報告されていない昆虫のアスタキサンチン合成能について、関与する遺伝子のクローニングを行い、確認する予定である。
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Causes of Carryover |
当初の実験計画が滞りなく進んだことに加え、試薬などの節約を心懸けた事による。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
新たな課題が生じたため、次年度の試薬購入代などに充てる。
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[Presentation] 昆虫食の機能性評価2015
Author(s)
井内良仁, 藤田晃大, 柿薗博美, 佐伯真二郎, 田﨑英祐
Organizer
第88回日本生化学会合同大会
Place of Presentation
神戸ポートアイランド(兵庫県神戸市)
Year and Date
2015-12-01 – 2015-12-04
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[Presentation] 社会性昆虫ヤマトシロアリの代謝戦略2015
Author(s)
田﨑英祐, 櫻井宏樹, 仁田尾優, 松浦健二, 井内良仁
Organizer
第68回日本酸化ストレス学会学術集会
Place of Presentation
かごしま県民交流センター(鹿児島県鹿児島市)
Year and Date
2015-06-11 – 2015-06-12