2015 Fiscal Year Annual Research Report
国産針葉樹の直接酵素糖化処理に向けたイオン液体前処理法の開発
Project/Area Number |
26660138
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
中川 明子 筑波大学, 生命環境系, 准教授 (30323249)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 国産針葉樹 / イオン液体 / 酵素糖化 |
Outline of Annual Research Achievements |
国内の木質バイオマス資源、とくに針葉樹材からのバイオエタノール生産に向け、国産針葉樹からセルロースを単離することなく溶解を最小限に抑え、結晶構造のみを変化させる温和な処理条件を見いだすことにより、酵素糖化効率を向上させる、イオン液体を用いた前処理技術を確立する。イオン液体処理の条件として、既往の研究において、イオン液体の種類、バイオマスの処理量、処理温度、処理時間、水分が挙げられているが、セルロースの結晶構造におよぼす影響は明らかにされていない。昨年度はセルロースの結晶構造に影響を及ぼすであろう水分の影響について検討した。今年度はイオン液体を回収・再利用するにあたり溶解した成分の影響および溶解成分と水分の除去法について検討した。 回収したイオン液体処理液は茶色に着色しており、低分子の抽出成分が溶解していることが予想されたことから、各種有機溶媒(ヘキサン、酢酸エチル、クロロホルム等)により溶解成分の除去を試みたが、溶解抽出物はほとんど得られず着色したままであった。そこで活性炭処理を用いたところ、着色物は取り除かれイオン液体はほぼ100%回収することができた。次に大量の水分を除去するため、イオン液体の不揮発性という性質を利用し、凍結乾燥法により除去した。 得られた回収イオン液体によりスギ木粉の処理を行ったところ、得られた残渣率は未使用(市販品)と同程度であったが、酵素糖化率は著しく減少した。回収したイオン液体の元素分析を行ったところ、市販品より水素および酸素の比率が若干高かったことから凍結乾燥法のみでは水の除去が不十分であったと考えられた。そこで凍結乾燥後に加熱減圧乾燥を行ったところ、酵素糖化率が向上した。
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