2014 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
26660139
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
佐藤 彩織 名古屋大学, 生命農学研究科, 特任助教 (60641058)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | あて材 / メカノセンシティブチャネル |
Outline of Annual Research Achievements |
当研究室ではこれまでに、ヒノキあて材と正常材における遺伝子発現を次世代シーケンサーによって比較し、細胞膜の伸びを感知するメカノセンシティブチャネルの遺伝子発現量があて材で増加していることを明らかにしてきた。本研究では、あて材形成の引き金となるのは、樹幹の傾斜や曲げがもたらす細胞膜のゆがみではないかと考え、以下の二つの実験を行った。 まず、「膜が伸びた細胞内にはメカノセンシティブチャネルによってカルシウムイオンが流入し、たとえ樹幹が鉛直であっても、傾斜時に見られるようなあて材特異遺伝子の発現が促されているのではないか」という仮説を検証するために、ヒノキの苗木を鉛直に生育し、細胞体積が大きくなる夜間(午前2, 3, 4, 5時)と小さくなる昼間(午後2, 3, 4, 5時)の分化中木部における遺伝子発現量を比較した。定量PCRの結果、メカノセンシティブチャネルの発現量は昼夜でほとんど差が見られず、昼夜の膨圧変動によって細胞膜が伸び縮みしても、24時間というスパンでは発現量が変動しないことが分かった。 続いて、どのようなタイムスパンでなら、また、どのような刺激によってなら、メカノセンシティブチャネルの発現量が変動するのかを調べるために、傾斜刺激を1, 2, 3, 4週間与えた苗木と、曲げ刺激を1, 2, 3, 4週間与えた苗木を準備し、各試料での遺伝子発現量を比較した。定量PCRの結果、傾斜2週目以降は、樹幹の傾斜下側でメカノセンシティブチャネルの発現量が増加することや、曲げ3週目以降は、樹幹の曲げ外側での発現量が減少することが分かった。 本研究の結果から、傾斜や曲げの刺激を受けた樹幹では、樹幹の上・下側や内・外側におけるメカノセンシティブチャネルの発現量が非対称となり、それに伴って細胞内へのカルシウムイオンの取り込みも変わるために、あて材形成が引き起こされる可能性が示唆された。
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Research Products
(5 results)