2014 Fiscal Year Research-status Report
MALDI-Q-IMS-TOFMSによる国産針葉樹材中のリグナン類のイメージング
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26660150
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Research Institution | National Research Institute of Police Science |
Principal Investigator |
吉田 浩陽 科学警察研究所, 法科学第三部, 主任研究官 (20370885)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 真一 科学警察研究所, 附属鑑定所, 所長 (00356198)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | リグナン / 木材 / 針葉樹 |
Outline of Annual Research Achievements |
分析試料として,(独)森林総合研究所の所有する木材標本から提供を受けた日本国産の針葉樹材であるイチイ,カヤ,アカマツ,スギ,ヒノキ,ネズコの6種を用いた.それぞれの種において,同一産地で伐採年が異なるもの,同一産地かつ同一伐採日で個体が異なるものなど,複数の標本を用意し,生育環境の違いによるリグナン類の含有量のバラツキを検証できるようにした. 最初は従来法に則り,バルクの木材から溶媒抽出によりリグナンおよびノルリグナンを取り出した.標本から切り出した木材を凍結粉砕器により粉末化し,ヘキサンで油分を抽出した後アセトン中で超音波処理することでリグナン類を抽出した.抽出法として,超音波抽出法以外に高速溶媒抽出装置(ASE)およびソックスレー抽出装置を用いる方法を試した.その結果,超音波抽出法の抽出効率は他の2種類の方法と比較してそれほど遜色がなかったため,簡便かつ低コストな超音波抽出法を用いることとした. 抽出物のLC/MS分析を行い,各試料に含まれるリグナン類の定性および含有量の比較を行った.その結果,主に含まれるリグナン類として,マタイレシノール,セコイソラリシレシノール,ピノレシノール,ラリシレシノールおよびヒドロキシマタイレシノールの5種のリグナンが検出された.これらの含有量の多いリグナンについては,カラムクロマトグラフィーなどで抽出物の精製を行わなくとも検出が可能であった. 検出されたリグナンの含有量の割合は,樹種により差が見られたが,同一種でも個体間の差が大きい場合もあり,含有されるリグナンの比率から樹種を完全に同定することは困難であった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究初年度である本年度の研究計画では,(1)木材試料からのリグナンおよびノルリグナンの抽出および精製(2)LC/MS/MSによる抽出物中のリグナンおよびノルリグナンの同定および含有率の算出,の2項目を実施予定であった. このうち,(1)の項目である木材試料からのリグナン類の抽出は実施できたが,(2)については,LC/MS/MSの条件の最適化が済んでいないため,実験が完了していない.
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Strategy for Future Research Activity |
前年度までに実験が完了していないLC/MS/MSの条件の最適化を行いつつ,LC/MS/MSとは別個の装置であるため,並行して実験が可能であるMALDI‐TOFMS分析によるリグナンおよびノルリグナン標品のイオン化条件の最適化および木材組織のMALDI‐TOFMSイメージング条件の最適化を行う.
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Causes of Carryover |
研究計画初年度に行う予定であった木材試料からのリグナン類の抽出実験のため,油回転型真空ポンプおよびロータリーエバポレータなどの備品費を計上していたが,抽出実験が順調に進捗し,既存の設備で対応することが可能であったため,上記備品を取得する必要がなかった.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
LC/MS/MS条件の最適化が困難で進捗が遅れているため,最適化のために必要なLC用の溶媒や,ESIイオン源,APCIイオン源などの取得に用いる計画である.
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Research Products
(1 results)