2015 Fiscal Year Annual Research Report
Every gene is everywhere, but the environment selects
Project/Area Number |
26660152
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
伊知地 稔 東京大学, 大気海洋研究所, 研究員 (10633894)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | メタマルチオミクス / メタゲノム / メタプロテオーム / メタメタボローム / セントラルドグマ / メタオーム / 海洋微生物生態系 / 環境適応 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究ではメタマルチオミクスを実施し、「Every gene is everywhere, but the environment selects」仮説を海洋微生物生態系で検証し、実証を試みた。従来の微生物生態学では、ある環境条件が特定の群集を選択する「Everything is everywhere, but the environment selects」という考え方が一般的であった。しかし、ある微生物のゲノムは異なる機能遺伝子群がモザイク状に集合したものである。そこで我々は、遺伝子群は普遍的に存在するが、環境がセントラルドグマと代謝を選択する本仮説を提案した。本仮説では、環境に選択された遺伝子群が環境適応的に発現し、結果として代謝が環境間で異なると考える。 初年度は、分析に必要な試料量と質を担保する試料採取法と抽出法を検討する予定であった。しかし、研究航海において現場濾過機を利用できたので、試料採取法は検討せずに試料採取が行えた。試料は、北太平洋の亜寒帯・亜熱帯のそれぞれで表層と中深層、斬新層から計6試料を採取した。メタプロテオームとメタメタボロームの抽出法を検討し、分析を実施した。最終年度は、メタゲノムの抽出法を検討し、分析を実施した。 メタゲノムは、属レベルの群集構造が亜寒帯の中深層と斬新層で、次にそれらと亜熱帯の中深層、斬新層の順に近似した。しかし、それらと両測点の表層間で異なった。さらに、分類群を高次にすると綱レベルで亜熱帯の中深層と亜寒帯の斬新層で最も近似した。メタメタボロームは各測点の中深層と斬新層で、次に測点間の中深層と斬新層で近似した。しかし、それらと両測点の表層間で異なった。メタゲノムの遺伝子構造とメタプロテオームは解析途中であるが、メタオームからは本仮説を支持する結果が得られている。今後は時間的に異なる試料でも検討し、本仮説を実証して行く。
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