2014 Fiscal Year Research-status Report
深海・地殻内生命圏における細菌群集の多様性を規定するプラスミドの網羅的機能解析
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26660154
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Research Institution | Japan Agency for Marine-Earth Science and Technology |
Principal Investigator |
吉田 光宏 独立行政法人海洋研究開発機構, 深海・地殻内生物圏研究分野, 技術副主任 (60565555)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 深海 / 堆積物 / 極限環境 / プラスミド / メタゲノム |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、深海・地殻内の極限環境における可動性遺伝因子の全体像の解明およびそれらの動態把握を目指している。生態での遺伝子因子の循環を理解するには、細胞内だけでなく、細胞外に存在する遺伝因子のメタゲノムについても情報を取得することが必要とされる。しかしながら、これまで海底環境から細胞外の遺伝因子を回収する手法は確立されていない。そこで平成26年度は、深海の堆積物試料を用いて、細胞外遺伝因子の回収を試みた。まず実験に使用する試料を確保するため、深海より堆積物試料を大量に採取した。採取した試料より調製した懸濁液について、0.2 μmフィルターで濾過したのち、その濾液から超遠心濃縮と密度勾配遠心による分離精製を組み合わせた手法を用いて細胞外遺伝因子の抽出を行った。得られた画分より作製したメタゲノムライブラリー中より細胞外遺伝因子の配列を検索した。その結果、細胞外遺伝因子として認められる配列はウイルス由来であり、プラスミドの配列は検出されなかった。このことから、深海の海底堆積物環境において、溶存態として存在するプラスミドの量はあまり多くはないものと考えられた。また、現行の手法では、プラスミドを効率的に回収出来ていない可能性も考えられる。そのため、今後、限外ろ過法を導入して更なる分画化・濃縮率の向上を図るなど、幾つか方法論の検討を引き続き行っていくとともに、深海・地殻内生命圏における細胞内可動性遺伝因子のメタゲノムについても網羅的解析を進める予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
実験に使用する試料の確保が当初の予定より遅れたため、計画通りに研究を進めることができなかった。また、深海底の堆積物試料より細胞外の遺伝因子を回収できたものの、プラスミドの検出には至らなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
研究の遂行に必要な環境試料を十分に確保できたことから、今後、深海・地殻内生命圏における細胞内ならびに細胞外の可動性遺伝因子のメタゲノム解析を精力的に進めていく予定である。
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Causes of Carryover |
試料の確保が当初の予定より遅れたため、計画通りに極限環境プラスミドのメタゲノム解析を進めることができなかった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
上記の遅れにより計画通りに使用出来なかった研究費については、極限環境遺伝因子メタゲノムの網羅的解析に必要な消耗品・試薬などの購入費に充てる予定である。
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Remarks |
JAMSTEC機関リポジトリ: 海洋研究開発機構で生み出された学術雑誌論文、紀要論文、会議発表用資料、図書等の知的生産物を電子的な形態で保存し、公開するシステム(OAI-PMH準拠).
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