2014 Fiscal Year Research-status Report
北海道におけるオオワシ追跡型サケ産卵場探査と産卵資源予測
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26660156
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Research Institution | Kitami Institute of Technology |
Principal Investigator |
松本 経 北見工業大学, 工学部, 研究員 (90507170)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中山 恵介 北見工業大学, 工学部, 教授 (60271649)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | オオワシ / シロザケ自然産卵 / 衛星追跡型発信機 / 回収型記録装置 / 寒冷地生態系 / シロザケ野生魚 |
Outline of Annual Research Achievements |
シロザケ(以下サケ)は我が国における重要な食料資源であり、人工的に行われる孵化放流によって安定した漁獲量を維持してきた。しかし、近年漁獲量は減少し、人間社会や生態系に影響を及ぼすことが懸念されている。漁獲量の減少が続くなか、河川の産卵場の保全は重要であるが、サケの産卵は厳冬期に及ぶため河川では凍結もあり、山間地の支流域でも多く存在するため、これまで人間による探査で見つけるには限界があった。そこで本研究では、衛星追跡システムでサケの捕食者であるオオワシを追跡し、餌場であるサケの産卵場の位置や規模を特定できる技術を確立することを目的とした。以下に実施内容を記す。 1.オオワシに装着可能なサイズでGPS測位データを衛星通信により取得できる小型追跡置を製作し、野外で試験稼動した。本装置では、-20℃以下の寒冷環境下でも測位データを取得できた。 2.追跡と同時に鳥の目線で画像を撮影し、餌や産卵場所の様子を撮影する小型撮影装置を製作した。撮影された全画像データは衛星通信で送信するには容量が大きいため、装置本体を野外で回数してデータを取得する方法を本研究では採用した。試験の結果、5分間隔で画像を撮影し、設定時間になると鳥の体から自動落下して電波を発信して回収できることを確認した。 3.警戒心の強いワシを遠隔操作で捕獲するための新たな脚固定型捕獲装置を試験製作し、従来の網捕獲装置と誘引率を比較した。その結果、誘引するまでの時間が従来型の1週間よりも短かったものの、オオワシでは誘引までの時間にばらつきが多く、予測が困難であった。今後、ワシの警戒をさらに軽減する小型の装置を開発する必要がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成26年度に製作された捕獲装置の誘引率は期待されていたより低く改善の余地があるものの、衛星追跡装置や自動撮影小型カメラおよびGPS記録装置は寒冷環境下で概ね順調に計測できた。
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Strategy for Future Research Activity |
平成27年度は、前年度の装置の試験稼動で得られた課題の解決を行い、冬期にはオオワシの捕獲・追跡調査を実施する。特に優先課題とされた捕獲方法の改善は追跡データの取得を左右する問題であるため、早急に解決する必要がある。今後の具体的な作業内容を以下に記す。 1.脚固定型捕獲装置を小型化し、オオワシの誘引率を向上させる。必要に応じて飼育環境下のワシを用いた捕獲試験も実施して改善に努める。 2.衛星通信ではなく装置本体を鳥の体から脱落させて測位データを回収する記録装置も別途開発する。記録装置では衛星通信料金が必要ないため、回収さえできれば何度も再利用ができてコストパフォーマンスも向上する。そのため、装着個体数を大幅に増やせると期待される。 3.サケの遡上時期にオオワシを捕獲し、開発した装置を体に装着してサケを食べる行動を追跡する。データを取得後すぐに装着個体が利用した河川を現地調査し、サケの分布を調べてオオワシの行動と産卵場所の規模(サケの分布)の関係を明らかにして行動パターンから産卵場所の特徴を推定する。また、特定された産卵場所の地理的な特徴を分析し、オオワシが利用する産卵場所の周辺環境を含めた立地条件を明らかにする。
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Causes of Carryover |
平成26年度に購入を予定していた新規計測器の完成と納品が次年度に延期となり、その購入額として用意した分を次年度使用額として残した。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成27年度に納品される新規計測器の購入代金として使用する。
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Research Products
(4 results)