2015 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
26660159
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
良永 知義 東京大学, 農学生命科学研究科, 教授 (20345185)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
和田 新平 日本獣医生命科学大学, 獣医学部, 教授 (90220954)
倉田 修 日本獣医生命科学大学, 獣医学部, 教授 (90277666)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | シャコ / 真菌 / 卵菌 / クルマエビ / ウイルス |
Outline of Annual Research Achievements |
2005年から2015年に東京湾において神奈川県が試験採捕したシャコ標本(ホルマリン固定標本および活きた標本を含む)の提供をうけ、シャコの年級組成を調べるとともに、これらの鰓における病変の有無と病変の程度を調べた。その結果、それぞれのシャコ年級軍はは9月に加入しはじめ、翌年の夏に、1歳でほぼ消失することが明らかとなった。また、病変を有する個体はさらに、前年に引き続き、病変を持つ個体は加入後の10月から出現するものの、顕著になるのは翌年の5-6月以降であり、病変には真菌・卵菌が高率に観察された。かつて、シャコの寿命は2-3年とされていたことを考えると、現在はこれらの感染症により、高水温期死亡している可能性が示唆された。 病巣から真菌、卵菌の分離をし、ITS領域の塩基配列をもとに同定を試みたところ、すでにシャコに病原性があることが示されている卵菌Halioticida noduliformansと真菌Plectosphaerella oratosquillaeが比較的高率に分離された。また、病変部位から抽出したDNAを鋳型に真菌・卵菌に特異的なプライマーを用いた増幅したPCR断片をクローング後塩基配列を決定したところ、P. oratosquillaeに加えてAspergillus 属およびCladosporium spp.の遺伝子が高率に検出された。これらの真菌・卵菌が病変を引きおこしている可能性が高いと判断された。 さらに、これらの真菌・卵菌をPCRで検出するためにプライマーを設計し、その特異性を検討するとともに、PCR検査の方法を確立した。 クルマエビに急性ウイルス血症(=ホワイトスポット病)については、病原ウイルスのPCR検査を行う体制を整え、予備的調査を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
シャコの病変が非常に高率であることから、シャコを中心に研究を進めた。シャコについては、病原体を絞り込むことができた。また、これらの病原体がシャコの生き残りに大きな影響を与えている可能性を示唆する結果も得られ、良好な成果が上がっている。一方、クルマエビについては、PCR検査の体制は整えたものの、予備的調査にとどまっている。
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Strategy for Future Research Activity |
シャコについては、東京湾で毎月、その他の海域(瀬戸内海、伊勢湾、石狩沖)については夏季に真菌、卵菌のPCR検査を行うとともに、攻撃試験により、病原性のチェックを行う。これにより、病原体を特定する。 クルマエビについては、漁獲されたクルマエビに加えて、漁獲されたクルマエビを個別飼育し、発症の有無を調べるとともに、PCR検査を行い、ウイルス感染率と発症率を検討する。
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Causes of Carryover |
本年度は、病理組織検査の頻度が少なく、予算に余剰が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
病理組織学検査に加えて、In situ hybridizationを行う。余剰金はそのための費用に充てる。
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