2015 Fiscal Year Annual Research Report
海産生物の生活史初期個体の食性解析手法の開発および生態調査への応用
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26660162
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Research Institution | National Institute for Environmental Studies |
Principal Investigator |
児玉 圭太 国立研究開発法人国立環境研究所, 環境リスク研究センター, 主任研究員 (90391101)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 食性解析 / ペプチド核酸 / 初期生活史 / 底棲魚介類 / 東京湾 |
Outline of Annual Research Achievements |
シャコ幼生について、様々な生物分類群の28S rDNAを増幅するユニバーサルプライマーと、ホスト生物(シャコ)のDNA増幅を特異的阻害するPNAプローブを用いてPCRを行い、クローンライブラリ法により増幅産物の塩基配列を決定し、幼生の食性を解析した。微小幼生の消化管内容物の摘出は困難なので、消化管と周辺組織を合わせて摘出し、DNAを抽出した。発達段階初期の微小な幼生は複数個体をプールして1検体とし、計22検体を解析した。捕食者のシャコ自身の塩基配列の検出率は21%で、PNAの使用はホスト生物のDNA増幅阻害に効果があった。シャコ以外に検出された生物分類群(検出率)は、刺胞動物(47%)、菌類(41%)、植物プランクトン(29%)、動物プランクトン(18%)および尾索動物(6%)であった。これらの生物の一部には、シャコ幼生の体表に付着した生物や、消化管内の常在菌等が検体に混在した可能性もある。このため大型幼生1個体を用いて、消化管を含む頭胸甲、消化管を除いた頭胸甲、および消化管を含まない腹節~尾節、の3部位について、検体を純水により洗浄した後にDNA抽出し、PNAを用いてPCR増幅産物の塩基配列を解析した。消化管を含む頭胸甲組織からは、橈脚類と珪藻類が検出された。腹節~尾節組織からは渦鞭毛藻類と刺胞動物が検出されたが、消化管組織において検出された生物は認められなかった。一方、消化管を含まない頭胸甲組織からは、消化管で検出して珪藻類が認められ、刺胞動物も検出された。よって、消化管試料では消化管内容物以外に体表付着した生物のDNAを検出する可能性がある。以上の結果より、PNAを用いて幼生の餌生物を調べることは可能であるが、消化管以外の体組織を含む検体について解析する場合は、消化管を含まない組織における解析もあわせて実施し、体表付着由来の生物種判別を行うことが必要である。
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Research Products
(12 results)
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[Journal Article] Temporal trends for inflow of perfluorooctanesulfonate (PFOS) and perfluorooctanoate (PFOA) to Tokyo Bay, Japan, estimated by a receptor-oriented approach2015
Author(s)
①Sakurai T, Serizawa S, Isobe T, Kobayashi J, Kodama K, Lee JH, Maki H, Zushi Y, Sevilla-Nastor JB, Imaizumi Y, Suzuki N, Horiguchi T, Shiraishi H
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Journal Title
Sci. Total Environ.
Volume: 539
Pages: 277-285
DOI
Peer Reviewed / Int'l Joint Research
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[Presentation] 東京湾へのPFOSおよびPFOAの流入速度の経年変化(2004-2010)2015
Author(s)
櫻井健郎, 芹澤滋子, 小林 淳, 児玉圭太, 李 政勲, 牧 秀明, 頭士泰之, 今泉圭隆, 鈴木規之, 堀口敏宏, 白石寛明
Organizer
第24回環境化学討論会
Place of Presentation
札幌コンベンションセンター(北海道札幌市)
Year and Date
2015-06-25
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