2015 Fiscal Year Research-status Report
シャコガイ種苗生産の安定化を目指した共生褐虫藻の生態学的特性と遺伝的多様性の把握
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26660164
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Research Institution | Japan Fisheries Research and Education Agency |
Principal Investigator |
山下 洋 国立研究開発法人水産総合研究センター, 西海区水産研究所, 研究員 (00583147)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小池 一彦 広島大学, 生物圏科学研究科, 准教授 (30265722)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 増養殖 / 水産学 / 生態学 / 共生生物学 / 生物圏現象 |
Outline of Annual Research Achievements |
体内に褐虫藻と呼ばれるSymbiodinium属渦鞭毛藻を共生させるシャコガイ類は熱帯・亜熱帯海域に生息する大型の食用二枚貝である。近年シャコガイ類の天然資源は減少傾向にあるため,安定的な養殖技術の開発が望まれている。しかし飼育下でシャコガイ幼生と褐虫藻の共生を成立されることが困難であり,安定的な種苗供給には至っていない。これはシャコガイ類と褐虫藻との共生関係に関する知見の不足が大きな要因であると考えられる。本研究ではまず,シャコガイ類にはどのような遺伝子型の褐虫藻が共生しているのかを明らかにし,その結果を基に種苗生産に適した褐虫藻を探索する。平成26年度に,様々なサイズのヒメジャコ及びヒレジャコ体内に共生していた褐虫藻の遺伝子型組成を調べたところ,サイズが小さいものほど褐虫藻の遺伝子型組成が多様であることを明らかにした。平成27年度は,この結果を受けて室内実験を実施した。すなわち,シャコガイ類によく共生する遺伝子型の褐虫藻をそれぞれヒレジャコ幼生に与えて,その取り込みを観察した。その結果,褐虫藻の違いによる取り込みの明確な差異は観察されなかったため,ヒレジャコ幼生は取り込みの段階では褐虫藻を選んでいないようであった。これは,殻長が小さいヒレジャコほど多様な褐虫藻を持つ,という平成26年度の結果とも一致する。一方で,ヒレジャコ幼生に褐虫藻を与えなかった場合や,褐虫藻の供給をストップした場合には,幼生の死亡率が高くなることから,ヒレジャコ幼生は褐虫藻を餌としても利用していることが示唆された。以上の結果を踏まえると,特定の遺伝子型の褐虫藻を添加するよりも,様々な遺伝子型の褐虫藻を絶え間なく与え続けることにより,ヒレジャコ幼生の初期生残率が向上する可能性がある。これを確かめるため,平成28年度まで補助事業期間を延長し,実証試験を試みる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ヒレジャコ幼生が様々な遺伝子型の褐虫藻を取り込むことができることを明らかにしたうえで,褐虫藻を餌としても利用している可能性を明らかにできたため。
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Strategy for Future Research Activity |
補助事業期間を延長して平成28年度は,これまでに得られた成果をシャコガイ類種苗生産現場にフィードバックし,実際にその効果を検証するための水槽実験を行う。また,これまでに得られた成果をとりまとめ,積極的に公表する。
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Causes of Carryover |
本年度は多数の検体を同時に処理したため,塩基配列解読の外注費用が削減され,外注費用に繰り越しが生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
繰り越した直接経費は,補助期間を延長して実施する実証試験時の遺伝子解析用試薬類や塩基配列解読外注費,あるいは当該補助事業で得られた成果の成果公表用の費用として使用する。
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Research Products
(1 results)