2015 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
26660165
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
沖野 龍文 北海道大学, 地球環境科学研究科(研究院), 准教授 (30280910)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
上田 宏 北海道大学, 学内共同利用施設等, その他 (00160177)
太田 博巳 近畿大学, 農学部, 教授 (10351579)
今泉 均 国立研究開発法人水産総合研究センター, その他部局等, 研究員 (70522762)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | ニホンウナギ / 産卵 / アミノ酸 / フェロモン / メタボロミクス |
Outline of Annual Research Achievements |
ニホンウナギの産卵地である西マリアナ海嶺にJAMSTECの調査船で行き、採水を実施した。台風の影響で、予定の産卵時期における採水はできず、採卵後の採水となった。とはいえ、産卵予想ポイントから、前年度より範囲を狭めて、12の深度から採水することができた。大学に持ち帰った海水を蛍光標識して超高速液体クロマトグラフィーにより溶存アミノ酸を分析した。ニホンウナギの味神経応答試験によるアミノ酸刺激閾値濃度を超える濃度のアミノ酸が検出され、特にシステインやメチオニンの濃度が高いことが示された。しかしながら、採水ポイントで確かに産卵が行われたかどうかの確証が得られず、現時点では産卵場所と溶存アミノ酸濃度の関係を説明できない。また、同じ海水について低分子化合物を網羅的にLC/MSで分析し、前年度の結果と合わせて現在解析中である。 前年度のウナギの産卵実験の結果に基づき、産卵の直前に焦点を絞りながら、産卵前から産卵後まで経時的に採水を実施した。西マリアナ海嶺の海水と同様に、蛍光標識後超高速液体クロマトグラフィーにより溶存アミノ酸を分析すると共に、SPEで処理後網羅的にLC/MSで分析を実施した。その結果、一部のアミノ酸が産卵前に上昇するなどの現象がみられたが、今後再現性を検討する予定である。また、その他有機成分についても産卵前に上昇する現象がみられ、今後再現性を検討の上、可能性のある成分について同定する必要がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
産卵場所の海水の分析を実施する予定であったが、悪天候のために、到着が産卵のタイミングから遅れてしまった。また、産卵場所を確認するための十分な情報を得ることができなかった。しかしながら、貴重な当該海域の海水を入手・分析することはできた。 水槽での産卵実験については、分析の対象とする候補物質を絞り切れていない現状にある。しかしながら、採水のタイミングなど実験方法の改善は進めているし、海水の分析結果にもはっきりした経時変化がみられてきている。最終年度に研究を加速するために必要な知見が得られている。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度においては、産卵地域での採水は、参加できる調査航海がないため、実施しない。この採水については、申請時点から可能であるかどうか未定であったため、実施しないことは予定された計画の範囲内である。 水槽での産卵実験についても、候補成分を絞り切れていない状況なので、最終年度に無理に生物試験を実施せずに、採水実験回数を増やすことと、化学的実験に注力することとする。
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