2014 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
26660167
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
都木 靖彰 北海道大学, 水産科学研究科(研究院), 教授 (10212002)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | ウニ / 生殖巣 / 生殖腺刺激ホルモン / コレステロール合成 / 器官培養 / MYP / ステロイド合成 / ペプチド |
Outline of Annual Research Achievements |
ウニ生殖巣の肥大化メカニズムを研究するためのツールとして,ウニ生殖巣を用いた器官培養系の確立を目指し,5日間生殖巣が生理学的に生存可能な生体外培養系を確立した。次に,培養による生殖巣肥大化の進展具合を判定するための指標(分子マーカー)を得るため,ウニ生殖巣の肥大に伴い発現量が増加する遺伝子群を次世代シークエンスサーを用いたランスクリプトーム解析により特定した。それらの内,コレステロール合成の最終段階の酵素,コレステロールを代謝するP450,ステロイドホルモン合成の律速遺伝子でコレステロール輸送に関わるStAR-likeのmRNA発現量がウニ生殖巣肥大に伴い実際に発現量が増加することをqPCR法により確認した。そこで,これらの遺伝子群を分子マーカーとして,磯焼けウニ生殖巣を最も生殖巣が肥大した時期のウニの体腔液で培養することで,体腔液中に生殖巣の肥大化を促す因子が存在するかどうかを検定した。その結果,上記の遺伝子群の発現量が増加したこのことから,ウニの体腔液中にはコレステロール合成を促進する物質が存在することが示された。また,体腔液を加熱処理,分子量篩を用いて分画することで,上記遺伝子群の発現を誘導する物質の特性を解析したところ,誘導因子は熱安定で分子量1万以下であったため,ウニ生殖腺刺激ホルモンはペプチドであると推定された。しかし,本研究ではウニ生殖巣の肥大に関わるタンパク質である主要卵黄タンパク質(MYP)の合成は誘導されなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
ウニ生殖巣の器官培養系の確立に相当の時間が必要と考えていたが,培養系の確立が早急に実現できた。また,ウニ生殖巣の肥大に関わる遺伝子群の探索およびqPCR法による発現定量系も確立でき,ウニ体腔液中にこれら遺伝子群の発現量を誘導する物質の特性まで推定できた。このため,標記の評価となった。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度,ウニ生殖巣の肥大に最も重要なタンパク質であるMYPの発現が誘導できなかった。そのため,MYPのmRNA発現誘導する物質を明らかにするため,さらなる器官培養系の改良と合成誘導物質の推定を行う。生殖巣で合成されるMYPの合成誘導物質は生殖巣で合成されていると推測しているので,改良した器官培養系にウニ生殖巣中の成分を様々な方法で抽出し,培養液に添加しMYPのmRNAを発現誘導するかを,これまでに確立したqPCR法を用いて測定することで,合成誘導物質の推定を行う。
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Causes of Carryover |
H26年3月末までに,消耗品と学会発表の旅費としてすでに使用済みであるが,支払いがH27年4月におこなわれるため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
H27年4月に物件費及び旅費として支出される予定である。
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Research Products
(2 results)