2014 Fiscal Year Research-status Report
ラマン分光法を用いた養殖魚介類成分の非侵襲的in vivo定量分析法の開発
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26660178
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
青木 宙 早稲田大学, 付置研究所, その他 (00051805)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
引間 順一 宮崎大学, 農学部, 准教授 (70708130)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | ラマン分光法 / 魚介類 / 食品成分 |
Outline of Annual Research Achievements |
従来、養殖魚介類の品質管理には、詳細な成分分析やDNA鑑別等の方法が用いられてきたが、どの方法も時間およびコストが膨大に必要である。ラマン分光技術を用いることで脂質やタンパク質等の成分検出を迅速、簡便かつ非侵襲的に測定できる。本研究では、国内外で生産される魚介類に含まれる主要成分(タンパク質、脂質等)や機能性成分(アスタキサンチン、タウリン等)について、ラマン分光法を用いて各成分の検出および定量方法の開発を行う。さらに養殖魚介類の種類や部位による成分濃度の違いを明らかにし、従来の成分定量法とラマン分光法による分析結果の違いを検討する。 平成26年度は、検出の対象となる養殖魚介類はサケ類とし、主にアスタキサンチンの定量を試みた。また3種類の大西洋サケ、ギンザケおよびベニザケについてのアスタキサンチン量の違いについて検討した。それぞれ4.5、7.0および14.2 mg/kgとなり、切り身の赤色の濃さを反映していた。これらの結果から、ラマン分光法を用いてサケの切り身からアスタキサンチンの濃度を測定することが可能となった。 もう1つの課題であるマグロの脂質についても、ラマン分光法を用いて特徴的なラマンバンドを検出できた。現在、詳細な脂質の定量方法を検討中である。また、次の目標であるイカ類のタウリン測定についても実験を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
平成26年度の達成目標は、ラマン分光を用いたサケ類の脂質、タンパク質およびアスタキサンチンの検出と測定、さらにマグロの脂質についても検出を試みることであったが、サケ類およびマグロの脂質の検出は可能なことが証明され、さらにサケのアスタキサンチンについては、ラマン分光を用いたアスタキサンチン濃度の測定方法を開発した。以上より、研究の達成度は,順調に進展していると言って良い。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度の計画としては、以下の2つの実験を遂行する。 1)養殖魚介類、特にイカ類からのタウリンの検出を試みる。また、ラマン分光法により測定した成分を定量するため、各標品試料からラマンスペクトルを測定し、検量線を作成することで各成分の定量を可能とする。 2)マグロの脂質のラマンスペクトルについてより詳細な解析を行う。脂質に含まれる機能性脂肪酸成分を測定することをめざし、ラマンスペクトルから複数あると考えられる脂肪酸の不飽和度を示すラマンバンドを特定し、そのバンド強度と通常の脂質バンドとを比較することで、不飽和脂肪酸(特に多価不飽和脂肪酸、DHAやEPA等)の含有量を推定することを試みる。また、同じ試料を用いて、一般的な定量法(ガスクロマトグラフィー)などとラマン分光法による脂質定量分析結果のそう完成を検討する。
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