2015 Fiscal Year Research-status Report
オイル産生藻類の交配育種に向けた有性生殖機構の解明
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26660179
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Research Institution | Osaka Institute of Technology |
Principal Investigator |
河村 耕史 大阪工業大学, 工学部, 准教授 (00595613)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 藻類バイオ燃料 / 微細藻類 / リアルタイムPCR / ダイレクトPCR / 減数分裂 |
Outline of Annual Research Achievements |
オイル産生藻類の有性生殖機構を解明するため、有性生殖時にのみ発現すると考えられている減数分裂を制御する9つの遺伝子について、ゲノム情報をもとに存在を調べた結果、9つ全ての遺伝子を保持していることが分かった。一方、既存のESTデーターベースでは9つのうち2つ(SPO11とDMC1)のみが発現しており、その他の7つの遺伝子は通常の培養条件では発現していない可能性が高いことが分かった。現在、これらの遺伝子の発現を誘導するための培養手法について検討している。 オイル産生藻類の交配育種のための遺伝子資源を確保するため、日本各地の淡水湖沼から野生株を単離した。8月と2月にはインドネシアの熱帯泥炭湿地林でも調査を行い、野生株を単離した。単離した野生株の遺伝子情報を簡便に入手するためのダイレクトPCR法を開発した。この手法を使って、野生株の18Sリボソーム遺伝子の情報を取得した。今後は、増殖速度やオイル蓄積能などの性能評価を進めて、有用な形質を持った野生株の特定を進める。 オイル産生藻類の細胞数を定量的に測定するためのリアルタイムPCR法を開発した。オイル成分の生合成に関わる酵素遺伝子に着目し、この遺伝子のコピー数をリアルタイムPCR法で測定することで、細胞密度の推定が可能であることを示した。現在、この手法を使って、自然の湖沼から得た環境DNAサンプルをもとに、オイル産生藻類の自然条件下での存在量を推定できるかどうかを検証している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初計画では、有性生殖が起こる条件を2年目までに特定したうえで、3年目には交雑実験を行って、遺伝的な交雑が起こることを分子マーカーを使って実証する予定であったが、まだどのような条件で有性生殖が誘導されるかを調べている段階にあるため。
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Strategy for Future Research Activity |
存在が確認された減数分裂関連遺伝子の発現を誘導する培養条件を探索する方法で、有性生殖を引き起こす条件の特定を進める。同時に、野生株の性能評価を行い、有用形質を持った株の特定と、交配実験の材料を準備する。また、リアルタイムPCR法による細胞密度の推定法を引き続き開発し、未知の野生株の検出に適用できるよう改良を進める。
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Causes of Carryover |
メタゲノム解析の実施を翌年度に延期したため
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
メタゲノム解析、学会の旅費、物品費等に充てる
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Research Products
(3 results)