2017 Fiscal Year Annual Research Report
Quantifying the shadow price of water irrigated under alternate wetting and drying sstems
Project/Area Number |
26660180
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
高橋 太郎 東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 農学共同研究員 (20540876)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 赳 東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 助教 (30756599)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 農業経済学 / 節水型稲作 / 作物モデリング |
Outline of Annual Research Achievements |
節水型稲作は、世界的な人口増加に伴う水需要の増加や、気候変動に伴う水供給の不安定化への有効な対応策として期待されているが、節水に伴う限界便益と限界費用の厳密な推計方法は未だ確立されておらず、このことが各地域において節水型稲作を進めることが社会的に望ましいかどうかの判断を困難にしている。本研究は、節水型稲作の中でも費用対効果が高いと報告されている間断灌漑法 (alternate wetting and drying irrigation: AWDI) を対象として、(1) 当該技術を利用した栽培において水収支を正確に計測できる作物・土壌モデルを開発した上で、(2) そのモデルを用いることにより、節水型稲作が社会的に望ましいための必要十分条件を明らかにし、さらには (3) 農業用水の潜在価格 (shadow price) を計測するための新しい学術的方法を提案することを目的とするものである。 プロジェクト4年目 (最終年度) の平成29年度は、これまでに開発した作物・土壌モデルを利用して、AWDI の費用便益分析を行った。ここではまず、離散選択問題としての農家にとって最適な灌漑パターンを、(1) 生物学的水利用効率、すなわち水 1ML 当たりの収量を最大にする場合と、(2) 様々な水準の水価格の下で農家所得を最大にする場合、さらにはモデル内の炭素循環のアルゴリズムから算出される温室効果ガスの排出量を考慮して、(3) 様々な水準の水価格および温室効果ガスの排出権価格の下で社会厚生を最大にする場合、のそれぞれについて導出した。繰り返し実験に当たっては、研究代表者が本プロジェクトの開始前に開発した確率的生物経済モデルにて用いられている既存の最適化アルゴリズムを準用した。
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