2015 Fiscal Year Research-status Report
沿岸域総合的管理の構築に向けた水産政策研究:海域における行政界設定の可能性
Project/Area Number |
26660184
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Research Institution | Research Institute for Humanity and Nature |
Principal Investigator |
遠藤 愛子 総合地球環境学研究所, 研究部, 准教授 (70721223)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 行政界 / ICM / 水産政策 / 海洋政策 / GIS |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は主に、以下の3点を実施した。第1に、日本の海域に行政界が設定されていないことによる問題点を確認するため、来事務年度に実施予定の質問票調査に向けた予備調査を実施した。具体的には、第1段階として、2015年度に実施した山口県、福岡県、大分県における水産関係部局へのヒアリング調査の結果得られた問題点を整理し、以下、本研究で取り組むべく課題を、以下の4点、1. 漁業紛争、2. 海底湧水の管理、3. 共同漁業権区域の管理、)沿岸域と沿岸資源、に絞り、質問票案を作成した。第2段階として、水産庁資源管理部漁業調整課沿岸・遊漁室と内閣官房総合海洋政策本部事務局に訪問し、質問票の内容、構成、質問票送付先についてヒアリングを実施した。その結果、質問票の内容は以下の4点、(1) 越境問題の確認、(2) 問題解決に向けた実施内容、(3) 海域における行政界設置に関する意見、(4) 海域における行政界設置可能性、で構成することとした。質問票送付先については、県か市長村か、海域に面する県か市長村か、さらに質問票の内容が多部門・多分野を横断していることから、送付先部署に関しても議論を行った結果、まずは、海域に面さない都道府県も含めた47道府県の総合政策又は企画部局に送付することとした。県を対象とした本質問票調査を実施後、引き続き市町村を対象に質問票調査を実施する可能性がある。 第2に、昨年度に引き続き諸外国の海域管理の現状、行政界設定の有無、および境界問題等について、文献レビュー及び海外の専門家より情報収集を実施した。 第3に、既に海域に行政界が設置されている兵庫県海域に関する歴史的経緯を調査している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
他業務、他研究および科研調査に対する時間配分を計画どおり実施することが困難であったため。
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Strategy for Future Research Activity |
2016年度は主に以下4点を実施する。第1に、2015年度に作成した海域における行政界設置の可能性に関する質問票調査を、47都道府県を対象に実施し、その結果を分析・GIS化し、水産又は海洋関係の国内外の学会で発表を行うとともに、国際誌に英語論文を投稿する。第2に、既に海域に行政界が設置されているドイツにおいて、設置の歴史的経緯、具体的な境界線の引き方、州と国の権限の範囲、州間の調整等に対しヒアリングを実施する予定である。第3に取組むべき4つの問題点の解決方法について、実施した質問票調査の結果に基づき、国・県に対する政策提言をまとめる。第4に、2016年度は最終年度であることから、政策提言した具体的施策の実施に向けた次段階の研究調査の準備を進める。
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Causes of Carryover |
他業務、他研究および科研調査に対する時間配分を計画どおり実施することが困難であったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
2015年度に作成した海域における行政界設置の可能性に関する質問票調査結果を分析・GIS化するため、謝金支出が発生する。また、最終年度であることから、本研究結果を水産又は海洋関係の国内外の学会で発表するための旅費支出と、国際誌に英語論文を投稿するための英文校正料および投稿料が発生する予定である。さらに、2015事務年度で実施するはずであった。ドイツにおいて、設置の歴史的経緯、具体的な境界線の引き方、州と国の権限の範囲、州間の調整等に対しヒアリングを実施するための海外旅費を支出予定である。
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Research Products
(5 results)