2015 Fiscal Year Research-status Report
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26660185
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Research Institution | Japan Fisheries Research and Education Agency |
Principal Investigator |
三谷 卓美 国立研究開発法人水産総合研究センター, 中央水産研究所, 研究員 (60371879)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 沿岸漁業管理 / 定置漁業 / 漁業協同組合 / トラック輸送 |
Outline of Annual Research Achievements |
現地調査において、新規の個別割当の理由に遭遇した。道東羅臼漁業協同組合では2014年9月17日からさけ定置漁業及びイカ釣り漁業による日々個別のスルメイカ水揚量に上限を設けていた。生産者市場から搬出するトラックの手配ができないためという。ただし、その後の漁況は伸びず実損は無かった模様である。制限は過去年の実績ではなく、日々個別船への基本的に等量の割当であった。14年には釧路等、15年には厚岸でも大量に水揚げされた当日は搬出ができず、翌日には水揚げさせず、厚岸ではその後水揚げ制限をかけたという。近年の傾向的なトラックドライバー不足に加え連続運転時間制限を定めた改善基準順守のため、従来の輸送サービスの提供が困難となっており、輸送賃は14年から2割増となったという。特に道東半島部では輸送距離から改善基準が輸送を制約すると言われる。 スルメイカの回遊の北偏、サンマ、秋サケの来遊量の減少傾向の下で、3魚種の同時の大漁が現地では懸念されている。温暖化、道東における漁業の発展・維持と北海道における他産業の就業構造とのギャップが相対的なトラック不足の原因である。全国の漁業者と道内トラックドライバーでは高齢の割合が高いが、羅臼や野付漁協の漁業者はバランスの良い年齢構成を保っている。秋サケでは水揚港後背地での加工も多く、サンマでは本州への水揚げが選択できるが、スルメイカについては胴抜き等一次加工後の冷凍保管の他は大部分は道南函館周辺の加工場に運搬されるため、特に生産者と関係業界と連携した解決策が必要とされている。荷主優位からトラック輸送業者の優位へ、と陸運局から漁協へのアンケートの回答にあった。。 道東では漁協組合員の定置漁業への参画を経て、現在では桁網漁業乗組員の増員等により組合員の相互扶助(所得向上、均衡)を図っている漁協、地域社会もみられている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
自然現象や関係産業の就業構造、水揚げ後の市場流通との関係から、漁業現場において個別割当となる新規な理由を見い出すことができた。 就業構造基本調査の個票データを用いた分析は進めたが、漁業センサスを用いては既成の集計の整理に留まっており、作表すべき表頭、表側等について検討し、漁業種類別等の就業構造の分析を進める。
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Strategy for Future Research Activity |
漁業管理における公正、公平性を論じるに当たっては、漁業管理でそもそも何が求められてきたのか、いるのかという視点から、年代別に既往資料の整理、分析も必要であると考える。
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Causes of Carryover |
現地調査等による旅費の支出は計画を上回ったが、その他経費が学会参加費のみとなったために未使用額(次年度使用額)が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
成果を海外で開催される関係学会で報告、議論するための旅費とともに、アンケート調査の実施経費の一部に充当する。
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