2015 Fiscal Year Research-status Report
半乾燥地帯における作物保険の制度設計―カメルーンのコメを対象に―
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26660187
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
福井 清一 京都大学, (連合)農学研究科(研究院), 教授 (90134197)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊藤 雅之 京都大学, 東南アジア研究所, 助教 (70456820)
高篠 仁奈 東北大学, (連合)農学研究科(研究院), 助教 (80507145)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 作物保険 / 気象インデックス / プロスペクト理論 / カリブレーション |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、気候変動による農業への影響が懸念され(Molua and Labi[2007])、食用穀物の増産と貧困削減が緊急の政策課題となっている(Kenyi[2012])、中央アフリカ・カメルーン国を対象とし、”Basis Risk”を最小にし、農民の厚生を最大にするようなインデックス・ベースの作物保険の制度設計を行うことを目的としている。 そのために、本研究では、まず、各種気象インデックスと陸稲の生育との間の関数関係式を推計する必要がある。昨年度は、このために必要な、カメルーンにおける月別の降水量、気温、米国国防省の衛星データ、および、IRD,NOAAのonline dataなどを、入手した。 次に、時間選好の指標を計測し、稲の収量と気象インデックスの間の関数関係を推計すると同時に、目的関数の型を特定化した後、カリブレーションの手法を用いて、農家の厚生水準を最大化する、保険料、補償金、気象インデックスとの間の関数関係を推計し、最適な作物保険制度を明らかにする。 最後の作業のためには、農家家計調査データ(農地面積、家族労働力、資産、就業形態、所得水準等)が必要であるが、これについては、昨年度の現地訪問で、IRADのKenyi氏が実施した稲作農家の家計調査の結果が利用できることが確認された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
初年度に、エボラ出血熱の流行やイスラム過激派によるテロが、隣国で起こったため、調査の実施を一年遅らせた。また、共同研究者であるKenyi氏と日本側研究者の日程調整に手間取り、初年度の遅れを取り戻せなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は、最終年度で、上記の農家経済調査のデータ・ベースから、分析に必要なデータを整理し、農家行動モデルを構築する一方で、リスク選好、時間選好の数量的指標を計測するための実験を行う。以上のようにして得られたデータにもとづき得られた農家行動モデルに関する分析結果にもとづき、最適なインデックス・ベイスの作物保険を、カリブレーションの手法を用いて推計する。このようにして得られた分析結果にもとづき、カメルーンにおけるコメの作物保険制度に関する英語論文を作成する予定である。
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Causes of Carryover |
初年度にエボラ出血熱の流行やイスラム過激派によるテロなどが重なり、現地調査の日程が繰り延べになったこと、および、カメルーン側の研究協力者との日程調整がうまくゆかなかったことにより、現地調査の計画実施が遅れたため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
今年度、福井と伊藤が現地を訪問し、500世帯分の農家経済データを入手するとともに、リスク選好、時間選好の数量的指標を計測する実験ゲームを実施する。また、得られたデータから分析用のデータ・セットを作成し、これにもとづき、稲作農家の行動モデルを構築し、カリブレーションにより最適な作物保険をデザインする。 渡航費(100万円)、現地の車借り上げ料(20万円)、原データからデータ・ベース作成手数料(30万円)、カリブレーション分析費用(30万円)、その他英文校閲料等(12.5805万円)で、合計192.5805万円となる。
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