2016 Fiscal Year Research-status Report
半乾燥地帯における作物保険の制度設計―カメルーンのコメを対象に―
Project/Area Number |
26660187
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
福井 清一 京都大学, 農学研究科, 教授 (90134197)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊藤 雅之 京都大学, 東南アジア地域研究研究所, 助教 (70456820)
高篠 仁奈 東北大学, 農学研究科, 助教 (80507145)
|
Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
|
Keywords | 作物保険 / カメルーン / 稲作 / カリブレーション |
Outline of Annual Research Achievements |
福井と高篠は、カメルーンにおけるコメの産地である西部高地で、伝統的な品種を生産するトンガ地区と改良品種を生産するドップ地区を訪問し、稲作農家、コメの小売、卸売業者、および、精米業者にインタビューを行い、国内米の生産・流通に関する情報を収集した。稲作農家からは、農地経営規模、農用機械・役畜の使用、作付け方法、品種、労働力、生産量、販売量、収量、収益性、稲作所得、脱穀・乾燥・調整などポスト・ハーベスト技術について、流通業者からは、仕入価格、販売価格、マージン、コメの品種、販売量、貯蔵施設、輸送手段などについて、精米業者からは、精米機の性能・価格、砕け米混入率、精米料金、コメ糠の扱いなどについて、それぞれ情報を入手した。 また、IRAD(農業開発研究所)の西部高地支部において、この地域における稲作の概要についてブリーフィングを受けた。 さらに、カメルーン全国の主要米産地において、IRADが収集した、稲作農家の家計調査に関する個票データ、精米業者、流通業者からの聞き取り調査の結果に関するデータを入手した。これらのデータは、次年度に整理し分析する予定である。 伊藤は、カメルーンにおける気象データと、GPSを用いた植生の情報から推測される米の作柄との関係について解析を試みた。 カメルーンの作物保険の分析に必要なデータ、および、情報は、おおよそ収集したが、分析するまでには至っておらず、学会発表、論文等による成果の公表は、今年度以降になる見込みである。 関連する稲作に関する研究は、カメルーンでの研究を基礎として、別途、インドネシアを対象に実施し、これについては、すでに研究成果を公表した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
初年度(H26年)に、イスラム過激派による襲撃やエボラ出血熱の流行が懸念されたことにより、当初予定していた調査を実施できなかった。一昨年度(H27年)に後れを取り戻すべく、調査を実施し、分析に必要な資料を入手しようとしたが、カウンターパートとの連携がうまくゆかなかったこともあり、資料の入手が遅れ、ようやく、昨年度(H28)に入手することができた。したがって、データの分析までには至っていない。
|
Strategy for Future Research Activity |
今年度は、まず、入手した農家経済調査の個票データを用いて、不確実性下の農家行動モデルを構築する。次に、別途入手する予定のカメルーンの稲作地帯の一つである西部高地における気象データと収量を用い、農家が直面するであろう不確実性と収量、収益の関係を推計する。そして、この推計結果にもとづき、気象インデックスを基礎とした代替的なコメの作物保険スキームを考え、それぞれのスキームごとに農家の効用最大モデルを解き、最適解の下での効用水準を比較することにより、最適な作物保険のデザインを行う。
|
Causes of Carryover |
初年度(H26年)に、イスラム過激派による襲撃やエボラ出血熱の流行が懸念されたことにより、当初予定していた調査を実施できなかった。一昨年度(H27年)に後れを取り戻すべく、調査を実施し、分析に必要な資料を入手しようとしたが、カウンターパートとの連携がうまくゆかなかったこともあり、資料の入手が遅れ、ようやく、昨年度(H28)に入手することができた。したがって、データの分析までには至っていないので、分析をする必要がある。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
IRADから入手した、稲作農家、流通業者、および、精米業者の個票データを整理し、分析できるようなデータファイルを作成する。分析用データファイルが完成したのち、以下のような分析を行う。農家経済調査の個票データを用いて、不確実性下の農家行動モデルを構築する。次に、別途入手する予定の気象データと収量を用い、農家が直面するであろう不確実性と収量、収益の関係を推計する。そして、この推計結果にもとづき、気象インデックスを基礎とした代替的なコメの作物保険スキームを考え、それぞれのスキームごとに農家の効用最大モデルを、解き、最適解の下での効用水準を比較することにより、最適な作物保険のデザインを行う。 以上のような作業を遂行するために大学院生3名を雇用する。
|
Research Products
(1 results)