2015 Fiscal Year Research-status Report
土中の炭素循環に応答した塩類集積プロセスに関する研究
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26660189
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
西村 拓 東京大学, 農学生命科学研究科, 教授 (40237730)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 塩類集積 / CO2 / 溶解平衡 |
Outline of Annual Research Achievements |
協力者(石橋)と共に平成26年度に構築した土中CO2濃度連続モニタリングシステムを用い,実際にカラム装置を組み立て、豊浦砂でセンサー、制御系の動作を確認した。その後、宮城県岩沼市で採取した津波被災地の塩含有土壌を用いて実験を行い、土壌水分条件・カラムに挿入するCO2濃度の検討,土中温度・水分量測定用のTDRセンサー・CO2測定センサーの動作確認を行った.TDRによる水分モニタリングについて、豊浦砂の時には問題が無かったが、土壌が塩を含む場合、本実験で想定するように表層土壌の水分が低くなる場合、見かけの塩分濃度が上昇し、TDR法による水分量測定の制度に問題があることが確認され、比較的高水分状態の時はTDRで測定するとして、低水分状態の水分モニタリング方法についてはさらに検討することとした。また、土中ガス濃度調整のためのマスフローコントローラーの設定値の決定に時間を要した。 当初想定していた黒龍江省の粘性土の入手が困難であったため、代用として、低湿地で粘性土が分布し、塩類集積が問題となっているベトナム国南部のメコンデルタで、排水不良で乾燥すると大きなキレツの発生する水田圃場から実験用の粘性土を採取し、実験に供するための準備を行った。 土壌中の気相の化学性に応じた、液相の化学反応や移動現象のモデル化について、PhreeqCによる有機物分解の数値モデルの構築を行い、ある程度、有機物の分解に伴うCO2発生を表現できるようになった。これについては、土壌肥料学会大会で発表した。物質移動モデルとの結合の準備はかなり進展したと考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
実際の土壌を用いて実験を行うと土壌中の二酸化炭素の濃度の精密制御(増すフローコントローラーの設定)と塩分を含んだ低水分量の土壌の水分量モニタリングが難しく、試行錯誤を行った。 また、土壌中に塩類が存在する時に低水分時にTDR水分センサーの測定精度が著しく低下したため、代替のモニタリング手法の追加検討を要した。
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Strategy for Future Research Activity |
砂質塩性土のカラム蒸発実験を行い、蒸発実験後の塩の分布について分析を行う。その後、粘性土を用いたカラム蒸発実験を開始する。 昨年度取り組んだPhreeqCに汎用土中水・溶質移動モデルのHydrus-1Dを組み合わせ、土壌中のCO2濃度環境の違いによる塩類集積の違いを表現する物理モデルを構築し、実験データを用いてモデルの検証を行う。
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Research Products
(2 results)