2016 Fiscal Year Annual Research Report
Innovative landslide warning system using COSMOS
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26660191
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Research Institution | Saga University |
Principal Investigator |
宮本 英揮 佐賀大学, 農学部, 准教授 (10423584)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
徳本 家康 佐賀大学, 農学部, 助教 (80445858)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | COSMOS / 高速中性子 / 土壌水分 / 土壌雨量指数 / 斜面崩壊 |
Outline of Annual Research Achievements |
膨大な土砂災害危険箇所を有する我が国では,局地的集中豪雨に伴う土砂災害に対する減災対策の拡充が急がれている。土砂災害警戒情報の発令基準値として,アメダス解析雨量とマサ土固有のパラメータに基づく土壌雨量指数(SWI)が活用されているものの,斜面の空間スケールは解析雨量のメッシュ間隔よりも小さいうえに,SWIは3段タンクモデルから算出した推定値であることから,斜面の空間スケールおよび土壌の種類に適合するリアルタイム土砂災害警報システムの構築が切望されている。本研究では,半径約300 mの表層土壌水分量を測定できるCOSMOS(COsmic-ray Soil Moisture Observing System)を活用した新たな警報システムを構築するために,盛土斜面において高速中性子数(φ)の季節変動を観測した。 観測の結果,土壌中の水分に加え,地表面における植物群落の成長から枯死に到るまでの植物体内の水分総量の変動も,COSMOSによる観測領域内の水分変動として観測され得ること,また半径300 mの観測領域内に,民家や道路などの構造物が存在するなど,観測領域は必ずしも面的に均一ではなかったことが原因で,斜面における面的土壌水分量の数値を正確に評価することは出来なかった。しかし,集中豪雨に見舞われ,土砂災害警戒情報が発表された期間や,乾燥が続いた期間などの大きな土壌の乾湿が認められた期間では,SWIに対するφの負の応答が観測された。 正確に面的土壌水分量を評価するためには,植物群落内水分量の増減や観測領域の面的不均一性がφ値に及ぼす影響を明らかにしたうえで,斜面の土壌水分量評価モデルを構築する必要があるものの,極端な乾湿条件においてφの変動傾向を捉えることが出来たことは,COSMOSが土砂災害警報へ応用できる可能性を示唆するものと考える。
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