2014 Fiscal Year Research-status Report
淡水レンズ地下水の流動マントル構造の高密度水温観測による解明
Project/Area Number |
26660194
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Research Institution | National Agriculture and Food Research Organization |
Principal Investigator |
白旗 克志 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構, 農村工学研究所資源循環工学研究領域, 主任研究員 (10648281)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 地下水 / 淡水レンズ / 流動層 / 降雨応答 / 水温観測 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、島嶼の貴重な地下水資源である淡水レンズが流動の遅い中心部と降雨時に発達する流動の速い周辺部からなることを明らかにすることを目的とし、初年度は本研究で開発する手法である多深度に設置した小型自動記録式温度計による経時的連続観測の有効性を確かめるため、降雨時に流動層を形成するかん養直後の地下水とより以前から淡水レンズ内に滞留している水とが水温によって区別できることを確認する計画とした。そのため実際に淡水レンズが賦存する島嶼の観測孔に温度計を設置して連続観測を行った。 観測期間を含む初年度は対象地域で特に降雨が少ない渇水年であり、降雨に伴って淡水レンズ内の温度変化が観測された事例は期間中に1回のみであったが、少なくとも淡水レンズの水面直下の複数深度に設置した自記温度計で降雨時に温度変化が記録されたことから、用いた観測機器、設置方法で淡水レンズ中の温度変化を捉えられることは確認できた。 一方影響のあった降雨事例が1回のみであったことにより、降雨強度の大小に応じて影響の大小が異なることは確認されず、観測された温度変化がかん養した降雨の水温を捉えたものか明確に判断することは出来なかった。このため今後の観測により確認が必要である。 また観測対象とした島嶼における既往の観測等資料の収集とあわせ、淡水レンズが賦存する他の島嶼における観測事例の文献調査、現地調査を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究で開発しようとする手法である、地下水観測孔内多深度での水温観測を実際に現地の淡水レンズで行い、降雨時の経時的な温度変化を観測することが出来たことから、初年度の最低限の目的であった自記水温観測の有効性の確認は達成できたため。
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Strategy for Future Research Activity |
初年度は渇水年であり降雨に対して淡水レンズ内の温度変化が確認できた事例が少なかったことから、今後観測を継続するに当たっては、観測地点の拡充や新手法の導入よりも、同一箇所において同一手法により観測対象深度の範囲を鉛直方法に大きくし、地点や手法を変えずに一貫した観測を集中して長く行い、降雨強度のみが異なる条件での比較を確実に行うことを次年度の目標とするほうが重要と思われた。また他の観測事例を参考にすると、多数の観測機器を用いた観測手法では若干の割合の機器の故障が発生する可能性があることからも、余裕をもって観測機器を準備し集中して観測を行うほうがよりよい成果につながると思われる。また本研究の参考とするため、初年度と同様、淡水レンズに関する既往の資料調査・現地調査を行い、降雨応答の観測等事例の調査を継続して行うとともに、可能な範囲で学会発表等成果の公表を行う。
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Causes of Carryover |
当初予定していた観測資機材の一部を別予算により手当することができたため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
観測対象とする深度数を増やすための観測資機材の購入に用いる。また可能であれば他の淡水レンズ賦存地域についての調査や学会発表等の成果公表に用いる。
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