2015 Fiscal Year Annual Research Report
テラヘルツ分光法による農産物・食品中の水素結合の非破壊定量分析
Project/Area Number |
26660203
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
源川 拓磨 筑波大学, 生命環境系, 助教 (10571698)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | テラヘルツ分光 / 非破壊計測 / 農産物 / 鮮度 |
Outline of Annual Research Achievements |
1.水素結合を示す周波数帯の特定および水素結合強度の定量化:全反射減衰-テラヘルツ (ATR-THz) 分光装置を用いて測定したグルコース水溶液のスペクトルには,グルコース濃度に伴う吸光度 (Log 1/R) の低下が認められた。既往研究等によって報告されている6THz付近の吸収バンドについては今回の手法では十分なSN比が得られなかったが,0.5THz付近の吸収バンドのテールを観測することができた。しかしながら,0.5THzは使用したATR-THz分光装置の測定レンジの下限であり,吸収バンドの全体像を捉えるには至らなかった。したがって,今回用いた手法ならびに分光装置では水素結合強度の定量を十分な精度で検討することは困難であることが示された。 2.水素結合-農産物鮮度間の相関解析および水素結合強度の回帰モデルの構築:様々な温度およびガス条件下で貯蔵した農産物について,異なる貯蔵期間で得られたATR-THzスペクトルを解析した。その結果,カキの追熟現象やブドウの冷凍および解凍に伴うスペクトル変化が確認された。これらの結果から,ATR-THz分光法を用いて農産物の鮮度変化に伴う水素結合の状態変化を捉えられることが示唆された。しかしながら,前述の通り今回用いたATR-THz分光装置の仕様上,水素結合強度の定量を検討することは困難であった。 3.水素結合-食品テクスチャー間の相関解析および水素結合強度の回帰モデルの構築:食品の主要なテクスチャー改良剤であるゼラチンのATR-THzスペクトルを用いて,その濃度変化に伴う硬度の回帰モデルを構築した。その結果,決定係数が0.98,RMSEが0.63 Nという高精度な回帰モデルを構築することができた。
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