2014 Fiscal Year Research-status Report
異種スペクトル融合による仮想メタボロミクスと食品の熟成モニタリングへの応用
Project/Area Number |
26660206
|
Research Institution | National Agriculture and Food Research Organization |
Principal Investigator |
蔦 瑞樹 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構, 食品総合研究所食品工学研究領域, 主任研究員 (80425553)
|
Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
|
Keywords | 非破壊計測 / 蛍光指紋 / 近赤外分光法 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、(1)複数の分光法で同一サンプルを計測する「異種スペクトル融合」、(2)対象中の化学成分を非破壊でかつ網羅的に推定する「仮想メタボロミクス」手法開発、(3)(1)及び(2)を応用した複雑な化学成分変化を伴う食品の熟成モニタリング、の3点を目的とする。今年度は、熟成により複数の化学成分が変化することは知られているものの、その詳細は明らかとなっていない泡盛を実験に供試した。醸造所や熟成期間が異なる39点の試料につき、蛍光指紋、近赤外分光法及びラマン分光法と同様の情報が得られる赤外分光法による分析を実施した。得られたデータに多変量解析を適用したところ、銘柄によらず、熟成期間が3年以上の試料とそれ以外を明確に識別可能なことが明らかとなった。一方、近赤外分光及び赤外分光スペクトルには、熟成と相関のある情報が少ないことが分かった。以上のことから、泡盛の熟成中に変化する成分のうち、光学的手法で非破壊モニタリングが可能なものには、共役系を持つ化合物が多いことが示唆された。一方、39点のうち18点を選択し、蛍光指紋分析に供試したのと同一試料をSPME-GCxGC-TOFMSによる網羅的香気成分分析に供試した。SPMEファイバーにはDVB/CAR/PDMS、1次カラムにはPure-WAX、2次カラムにはRtx-5を用いた。得られたデータを分析したところ、約2000の成分ピークが検出された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当所の予定通り、各種分光法による非破壊分析及びGCxGC-TOFMSによる網羅的香気成分分析を実施した。
|
Strategy for Future Research Activity |
GCxGC-TOFMSのデータを詳細に解析し、泡盛の熟成中に変化する成分を同定する。また、同定した成分と蛍光指紋の関連を解明し、蛍光指紋による熟成期間判別の裏付けを行う。さらに、同様の手法をチーズの熟成期間推定にも適用する。
|
Causes of Carryover |
研究協力者が泡盛の香気成分分析を無償で実施してくれたため、依頼分析の費用が不要となった。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
香気成分分析で得られたピーク数が約2000と予想を大幅に超えており、膨大なデータを処理可能なワークステーションクラスのパソコンがデータ解析に必要となったため、その購入にあてる。また、蛍光指紋による泡盛の熟成期間判別が予想以上に高精度に行えたため、その成果を国内外の学会で発表する。
|