2015 Fiscal Year Annual Research Report
マウス及びウシ胚盤胞の休眠を誘導・長期間維持する体外培養法の開発
Project/Area Number |
26660209
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
山田 雅保 京都大学, (連合)農学研究科(研究院), 准教授 (10243073)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 休眠 / 胚盤胞 / スレオニン / スレオニン脱水素酵素 / ミトコンドリア / サイトゾルAcetyl-CoA / マウス / ウシ |
Outline of Annual Research Achievements |
体外培養において、受精後5日目(day5)以降のマウス胚盤胞を休眠状態で維持するには、培地へのスレオニン(Thr)の添加が必須であることを始めて明らかにしている。本研究では、体外培養マウス胚盤胞のThrによる休眠の誘導・維持機構の解明と、マウス子宮内あるいは体外培養でのウシ胚盤胞の休眠誘導・維持方法の開発に取り組んだ。得られた成果を以下に挙げる。 (1)体外培養マウス胚盤胞の内部細胞塊(ICM)のミトコンドリアにスレオニン脱水素酵素(TDH)が局在すること、そしてThrにICM数を維持する効果があり、その効果は、ThrがTDHにより代謝されるグリシンとAcetyl-CoAへの代謝基質であるピルビン酸の両者を培地に加えることによっても発揮されることから、そのミトコンドリア内でのTDHによるグリシンとAcetyl-CoAへの代謝によって発揮されることが示唆された。(2)ミトコンドリアAcetyl-CoAのサイトゾル内のAcetyl-CoAへの代謝を触媒する酵素を阻害すると、胚盤胞の形態には変化はないがICM数のみが減少し、その減少はサイトゾルAcetyl-CoAへの代謝基質X(現在のところ公開できない)を培地に添加すると阻止され、さらにThrとXを培地に添加すると、遅延着床胚盤胞のICM数の増加と産仔への発生能が著しく促進されることが判明した。一方、体外受精後8日目のウシ胚盤胞を卵巣除去偽妊娠マウスの子宮に移植しても、マウス胚のように休眠は誘導されず、ウシ胚は変性することが明らかとなった。しかし、ウシ胚盤胞を10% FBS, 200 microM 2メルカプトエタノール, 120 microM メチオニン,10 microM Y-27632そして1mM グルコースを添加したEDTA不含KSOM培地で培養すると、70%の胚が拡張胚盤胞として14日間生存維持できることが分かった
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