2014 Fiscal Year Research-status Report
肥満制御と産肉性向上のダブル社会貢献を可能にするイムノバイオティクスの評価系構築
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26660216
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
北澤 春樹 東北大学, (連合)農学研究科(研究院), 准教授 (10204885)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
麻生 久 東北大学, (連合)農学研究科(研究院), 教授 (50241625)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 脂肪細胞 / Toll様受容体 / ブタ / TNFα / サイトカイン / ケモカイン / 炎症免疫調節 / 食品・飼料 |
Outline of Annual Research Achievements |
【研究の目的】 メタボリックシンドロームの主要原因である肥満は、過剰な脂肪蓄積を増大させ、生活習慣病のリスクファクターとなり大きな社会問題となっている。一方家畜では、脂肪蓄積制御による産肉性向上が求められている。近年、抗炎症による脂肪蓄積制御への期待が高まる中で、我々は、イムノバイオティクス(腸管免疫機能性のプロバイオティクス)が、ヒトモデルとしても期待されるブタで、抗炎症機能を発揮することを見出した。本研究では、ヒトの肥満抑制と家畜の産肉性向上にダブル貢献できるイムノバイオティクスの発展的利用を目指し、ブタ脂肪前駆細胞により、脂肪蓄積制御に有効なイムノバイオティクスの新規選抜・評価系を構築することを目的とする。本年度は、ブタ脂肪前駆細胞と分化誘導した脂肪細胞において、炎症応答に関わる免疫因子と受容体を解析し、評価系構築の基礎を得ることを目的とした。 【研究成果】 (1) ブタ脂肪細胞の分化誘導と炎症免疫関連因子の解析:ブタ脂肪前駆(PIP)細胞から脂肪細胞への分化誘導を行い脂肪滴が確認できた。分化前後の脂肪細胞において、TLR1~9、Nod1およびNod2の発現が認められた。中でも、TLR2、TLR3、TLR4、TLR6、Nod1およびTNFα受容体において分化前後で発現に有意差が認められ、免疫染色によるタンパク発現を確認した。 (2)ブタ脂肪細胞による抗炎症イムノバイオティクスの評価系基礎:脂肪細胞分化前後においてTNF-αで刺激したところ、IL-6、CCL2やIL-8で、TNF-α濃度依存的な発現変化が認められた。中でも、CCL2で極めて強い発現が認められたことから、評価系における免疫パラメータとして設定可能と期待された。さらに、イムノバイオティクスによる腸管免疫細胞を介するCCL2の発現変動を解析することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
ブタ脂肪前駆細胞における、自然免疫受容体の解析から、TNFαに対する炎症免疫応答性を基礎として、イムノバオティクスの評価系における有望な免疫評価パラメータが設定できた。これにより、イムノバオティクスの脂肪蓄積制御に関わる炎症免疫機能の評価が可能と期待された。これらの成果は、初年度にして既に原著論文を公表することができ、新たな成果についても原著論文作成が進んでいることから、予想以上に研究が進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
免疫評価パラメータに加え、細胞内脂肪関連制御因子の網羅的解析を進めると共に、抗原提示細胞を用いてイムノバイオティクスの発展的評価系構築を目指す。
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Causes of Carryover |
研究経費の物品費に関して、特定試薬に対する特価により経費節約が可能となった。また、予定していた調査旅費および人件費・謝金については、インターネットや関連研究者とのメール交信および実験手法の効率化により、それぞれ経費節約となった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
本年度節約できた本経費は次年度の経費と合わせ、網羅的解析等の発展的研究の遂行と学術論文等の積極的な公表にあてることで、当初の計画以上の成果となるよう効果的な使用を計画している。
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