2015 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
26660225
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
村田 幸久 東京大学, 農学生命科学研究科, 准教授 (40422365)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | ステロイド / 薬理 / 動物モデル |
Outline of Annual Research Achievements |
「万能薬」と呼ばれるステロイド系抗炎症薬(ステロイド)の免疫抑制作用は、広範かつ強力である。しかし、今なおステロイドの作用機序は完全に分かっておらず、それを凌駕する免疫抑制剤も開発されていない。申請者はステロイドの新しい免疫抑制機構として、炎症抑制物質であるプロスタグランジンD2(PGD2)の産生上昇と、それによる血管保護作用が関与することを示唆する予備知見を得た。これらの知見をもとに本研究では、ステロイド応答因子としてのPGD2の作用証明とその産生促進機構を明らかにし、新しい免疫抑制方法の開発に応用することを目的とし、実験を行った。
平成26年度においては、マウスの菌体成分投与による肺炎モデルを作成し、浮腫形成や好中球浸潤を指標とした評価系を確立した。このモデルにおいてステロイド(デキサメタゾン)が示す炎症抑制効果に、PGD2合成酵素の発現上昇とPGD2の産生上昇が伴うことを明らかにした。
これらの成果を土台とし、平成27年度にはステロイドの炎症抑制効果にPGD2がどのような影響を与えるかについて、その機能証明を行った。具体的にはPGD2合成酵素の遺伝子欠損マウスや強制発現マウスにおけるステロイド反応性の評価を行い、PGD2シグナルの欠損がステロイドによる炎症抑制作用、特に浮腫抑制を一部解除することを明らかにした。またこの反応を仲介するPGD2受容体の関与についても明らかにすることに成功した。これらの実験により、PGD2がステロイドの応答因子として機能することを証明できた。
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Research Products
(36 results)