2015 Fiscal Year Annual Research Report
ヘルペスウイルスゲノム非コード領域のウイルス増殖における機能解明
Project/Area Number |
26660228
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
福士 秀人 岐阜大学, 応用生物科学部, 教授 (10156763)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | long non-coding RNA / ウマヘルペスウイルス1型 |
Outline of Annual Research Achievements |
ゲノム上のコード領域からの転写産物(mRNA)のみならず、非コード(nc)領域からの転写産物(非コードRNA、 ncRNA)が様々な機能を担っていることが明らかになりつつあり、細胞生物学的にRNAの機能に対する関心が高まっている。我々はウマヘルペスウイルス1型のハムスターに対する神経病原性に寄与する可能性のある新規lncRNA候補となる2つの転写産物lncRNA-X1およびlncRNA-X2を発見した。昨年度は5'末端を同定できたが,3'末端は同定できなかった.一方,lncRNAの発現を解析するためlncRNAの内部を赤色蛍光タンパク質(mCherry)遺伝子に置換したウイルス(EHV-1 lncRNA-mCherry)を構築した.今年度は,mCherryをマーカーとしてlncRNA-X1, -X2の発現を調べるとともに,lncRNA全長の同定、特異的検出系の構築、および機能的破壊による他のウイルス遺伝子転写動態解析を行った。 EHV-1 lncRNA-mCherryを細胞に感染させたところ,mCherryを含むRNAの発現がみられたが,赤色蛍光は観察されなかった.単純なmCherry ORFによる置換ではタンパク質発現には至らなかったと推察した.lncRNA-X1および-X2について再度3'末端の同定をおこない,ポリA付加部位を同定することができた.lncRNA-X1は1028塩基長,lncRNA-X2は679塩基長であった.lncRNA-X1/X2を発現しないウイルスをマウス培養神経細胞に感染させたところ,数種類のウイルス遺伝子発現が減少ないし検出限界以下に低下していることがわかった.馬胎児腎臓細胞感染ではこの減少はみられなかった. lncRNAがウマヘルペスウイルス1型の神経細胞における増殖になんらかの役割を担っている可能性を明らかにできた.
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