2014 Fiscal Year Research-status Report
すべてのネコが保有するインスリン親和性IgGの機能解析
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26660238
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
北川 均 岐阜大学, 応用生物科学部, 教授 (70144003)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西飯 直仁 岐阜大学, 応用生物科学部, 准教授 (20508478)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 抗インスリンIgG / インスリン / ネコ / グルコース |
Outline of Annual Research Achievements |
すべてのネコが保有するインスリン親和性IgGの機能を解析する目的で、メロンゲルクロマトグラフィーとインスリンを固定したアフィニティークロマトグラフィーを用いて血清からインスリン親和性IgGを分離し、親和性の異なる2種類(フラクションAとB)に分離することができた。ビアコアを用いた解離定数(KD値)は、低親和性分画が 1.64 e-4 M、高親和性分画が2.0 e-5 Mであった。また、16種のペプチド断片を用いたエピトープ解析では、インスリン親和性IgGはインスリンB鎖のC末端部分とB鎖のC末端から6-15アミノ酸残基の部分に親和性を有した。このことから、親和性が異なるインスリン親和性IgGが複数存在することが確認できた。インスリン添加による脂肪細胞のグルコース取り込み量は、低親和性分画添加時に増加したが、高親和性分画の添加時には変化しなかった。インスリン刺激からグルコース取り込に至るシグナル伝達物質であるリン酸化Aktもインスリンに低親和性分画を添加した時に増加した。すなわち、インスリン親和性IgGの一部は、インスリンの活性を強める作用があることを示唆するという結果が得られている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究遂行上最も困難であると考えられる、抗インスリンIgGの分画と、それぞれの分画の親和性解析とエピトープ解析がほぼ終了し、さらに脂肪細胞への添加試験も順調に進み、抗インスリンIgG分画の一部が、インスリンによる糖取り込みを増強するという驚くべき結果が得られている。この結果は、IgGの機能として一般的な「インスリン効果の阻害効果」とは逆の結果なので、さらに確認するステップを踏む必要がある。
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Strategy for Future Research Activity |
インスリン親和性IgGのアフィニティクロマトグラフィーによる分画と親和性、およびエピトープ解析に関するデータをまとめ、論文とし投稿中である。 抗インスリン親和性IgGの脂肪細胞によるグルコース取り込みの増強に関する研究に集中してさらにデータを重ね、研究論文として公表する予定である。 疾患ネコの血清は継続して集積していく予定である。
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