2014 Fiscal Year Research-status Report
遺伝子組換え線虫を用いた哺乳動物フェロモン探索系の構築
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26660255
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Research Institution | Iwate University |
Principal Investigator |
山下 哲郎 岩手大学, 農学部, 准教授 (20202377)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮崎 雅雄 岩手大学, 農学部, 准教授 (20392144)
若林 篤光 岩手大学, 工学部, 助教 (30332498)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | フェロモン / 線虫 / 嗅覚 |
Outline of Annual Research Achievements |
フェロモンは、動物の体内で生産され体外に分泌されて同種他個体に作用し、特定の行動を誘起したり、生理変化を引き起こす生理活性物質である。これまでに哺乳動物においてフェロモンが介在する様々な生命現象が報告されているが、フェロモンの化学構造が同定された例は極めて少ない。我々は、哺乳動物と同様に7回膜貫通型のGタンパク質共役受容体を発現している線虫の嗅覚神経細胞を利用すれば、哺乳動物のVRが機能的に発現する可能性があると考えた。そこで本研究では、フェロモンを受容すると忌避行動を示すリガンド探索線虫を作出し、新たなフェロモン探索系の確立を目指した。まず、目的とするネコV1Rが線虫のAWB神経細胞で特異的に発現するか調べた。V1R1に緑色蛍光タンパク質遺伝子(GFP)を融合した線虫用発現ベクターを構築し、線虫に遺伝子導入して共焦点レーザー顕微鏡で発現部位を調べた。AWB神経細胞でGFPが特異的に観察できたため、ネコV1Rが線虫のAWB神経細胞で発現できることが明らかになった。次に、17種類のネコV1R遺伝子をそれぞれ線虫用発現ベクターに組込み、9または8種類のV1R発現ベクターを導入した遺伝子改変線虫を作出した。野生型線虫と遺伝子改変線虫に、フェロモン活性を示す尿から抽出した全脂質を提示して、尿脂質に忌避行動を示すか調べた。AWB神経細胞でネコV1Rを9または8種類発現する遺伝子改変線虫を使って尿脂質に対する行動アッセイを行なった結果、野生型は忌避行動を示さなかったが、遺伝子改変線虫はどちらも尿脂質に忌避行動を示した。以上の結果、AWB神経細胞でネコV1Rが機能的に発現している可能性が強く示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度に予定していたV1R発現ベクターを導入した遺伝子改変線虫の作成に成功し、ネコ尿脂質に忌避行動を示すことが明らかになったため。
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Strategy for Future Research Activity |
トランスジェニック線虫がネコ尿脂質に走化性を示すことが確認できたので、液体クロマトグラフィーやガスクロマトグラフィーで尿脂質を分画しながら、誘引活性を指標にリガンドの精製を行う。ネコ尿に複数のリガンドが含まれている可能性も考えられるので、複数分画に誘引活性が認められたら、各分画を更に分けていき、最終的に誘引活性を示す最少成分までリガンドの単離を行う。
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