2015 Fiscal Year Research-status Report
遺伝子組換え線虫を用いた哺乳動物フェロモン探索系の構築
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26660255
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Research Institution | Iwate University |
Principal Investigator |
山下 哲郎 岩手大学, 農学部, 教授 (20202377)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮崎 雅雄 岩手大学, 農学部, 准教授 (20392144)
若林 篤光 岩手大学, 工学部, 助教 (30332498)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | フェロモン / 線虫 / 嗅覚 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、哺乳動物のフェロモン受容体を線虫の神経細胞で機能的に発現させ、線虫を使い動物の分泌物からフェロモンを探索できる手法の開発を目指している。具体的には、ネコのフェロモン受容体V1Rを忌避性AWA神経細胞で特異的に発現する遺伝子組み換え線虫を作成し、忌避行動の有無でリガンドの探索ができるバイオアッセイ系の樹立を目指している。昨年度は、17種類のネコV1Rを2つのグループにわけ、9または8種類のネコV1Rを発現する遺伝子組み換え線虫を作成した。その結果、ネコ尿脂質に対して忌避行動を示すことがわかった。本年度は、更に強い忌避行動を示す線虫の作製を目指して、V1Rのアミノ酸配列に基づいて、配列の似ている順にネコV1Rを3つの群に分けて、一つ当たりのAWA神経細胞で発現するV1Rのレパートリーを減らし、忌避活性が強くなるか調べた。またマウスで既知となっているV1R受容体‐リガンドペアを使用して、遺伝子組み換え線虫を使用したフェロモンアッセイ系のポジティブコントロール作成を行った。ネコV1Rの組み合わせを7種、5種、5種として3系統の遺伝子組み換え線虫(A、B、C)を作成した。培地の一方にネコ尿脂質を、もう一方に溶媒のみを添加して走化性指数を求めたところ、AとCの遺伝子組み換え線虫が有意な忌避行動を提示することが分かった。また3-硫酸β-エストラジオールナトリウム塩をリガンドとするマウスV1Rf3を発現した遺伝子組み換え線虫を作成して、同様に検証したところ、忌避行動を提示する傾向が強いことが分かった。よって作成した遺伝子組み換え線虫で哺乳動物のV1Rが機能的に発現している可能性が強く示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
AWA神経細胞で発現するV1Rのレパートリーを減らしたところ、忌避活性を強く提示する遺伝子組み換え線虫が作成できたため。
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Strategy for Future Research Activity |
現在は、V1Rのみ遺伝子導入した線虫を作成しているが、更に忌避活性の強い遺伝子組み換え線虫の作製を目指し、V1Rと共役するGタンパク質やPLC-β‐2、TRPC2なども遺伝子導入して、全て哺乳動物型にした際に更に活性の強い遺伝子組み換え線虫が作成できるか検証する。
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Causes of Carryover |
研究計画に従って予算執行していたが端数が生じたため
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
28年度の遺伝子解析用消耗品購入費の一部に充てる予定である。
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