2015 Fiscal Year Research-status Report
CRISPR/Cas9システムを利用したほ乳動物の産み分けに関する研究
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26660256
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
南 直治郎 京都大学, (連合)農学研究科(研究院), 准教授 (30212236)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
金子 武人 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (30332878)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 産み分け / ゲノム編集 / ノックイン / Crispr/Cas9 / 性染色体 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では受精を阻害できる遺伝子を、近年開発されたゲノム編集技術であるCrispr/Cas9システムを用いて性染色体にノックインし、目的遺伝子をもつ精子の受精を阻害することで雌雄の産み分けを可能にする技術の開発を目的とした。 導入遺伝子はプロタミン1プロモーター制御下において、受精を阻害する遺伝子およびAcGFPを発現するように構築し、制限酵素処理によって直鎖状にして顕微注入に用いた。また、性染色体上における目的遺伝子の挿入部位は、ヘテロクロマチン領域および機能遺伝子領域を避けた部位でかつ、Crispr/Cas9システムによって認識される、オフターゲットの少ないものの中から選出した。これらの条件を満たす領域の選出にはNCBIのゲノムデータベースおよびgRNA設計サイト(http://crispr.mit.edu/)を参照し、X染色体上ではCAGATTGAAGTCAACCATCG、Y染色体上ではACTAGGTCGTTTCTACAATTの配列を持つ部位に決定した。同定したターゲットシーケンスをpX330プラスミドにライゲーションし、目的部位をPCRによって増幅させ、その産物をMEGAshortscriptT7 kitでin vitro転写を行うことによってCas9が認識するgRNAを作製した。hCas9についても同様にin vitro転写を行うようにプラスミド に組み込んだ。さらに、Crispr/Cas9により切断される性染色体の上流50bpと直鎖状にした導入遺伝子の上流50bp、直鎖状にした導入遺伝子の下流50bpとCrispr/Cas9により切断された性染色体の下流50bpをそれぞれ接続した計100bpのオリゴDNAを2本作製した。 以上のように作製した導入遺伝子、gRNA、hCas9 RMA、オリゴDNAを同時にマウス受精卵に顕微注入し、遺伝子組換えマウスを作出した。得られた産子が雌であったため、次世代の作出を行っている。また、遺伝子組換えマウスの解析においては複数系統の組換えマウスを作製して解析を行う必要があるため、現在作製実験を継続している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
得られた遺伝子組換え産子が雌であったため、次世代の作出を行っている。また、遺伝子組換えマウスの解析においては複数系統の組換えマウスを作製して解析を行う必要があるため、現在組換えマウスの作製実験を継続している。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、標的とする性染色体に目的の遺伝子が挿入されていることを確認し、その組換え遺伝子を持つ雄マウスを野生型雌マウスを交配させ、産み分けができるかかどうかを確認する。
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Causes of Carryover |
研究課題の実施により、当初の目的である遺伝子組換えマウスの作製はできたが、遺伝子組換えマウスが雌であったため、雄の作製に取り組む必要がある。また、遺伝子組換えマウスの解析においては複数系統の組換えマウスを作製することで、より精緻な解析ができるため、1年の延長を申請した。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
実験用マウスの購入と導入遺伝子の作製に使用する。
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