2014 Fiscal Year Research-status Report
キメラ作出技術を用いた鳥類近交退化現象の新規解析系の開発
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26660262
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Research Institution | National Institute for Environmental Studies |
Principal Investigator |
川嶋 貴治 独立行政法人国立環境研究所, 生物・生態系環境研究センター, 主任研究員 (90360362)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 近交退化 / キメラ / ウズラ / 鳥類 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、国立環境研究所で維持しているニホンウズラの長期閉鎖集団(NIES-L系)を用いて、鳥類における近交退化現象の解析を行った。NIES-L系ウズラに、実験的に強度近親交配(兄妹交配)を行うことで顕在化する有害形質を調べた結果、産卵率や孵化率などの繁殖形質に影響を及ぼすことが明らかとなった。また、世代が進むとともに卵重が低下する傾向が見られたものの、5世代を超えて繁殖能を維持している雌雄個体が現れた。さらに、胚発生の連続観察を可能にするために、ウズラ胚の卵殻外での培養法の改良を試みた結果、強度の近親交配は胚の発育遅延や形態形成の異常を発生させることが明らかとなった。鳥類近交退化現象の解析と理解に向けて、その実験材料と基盤技術を確立することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
ニホンウズラは近交退化現象を解析するためのモデル動物として有用であるものの、強度の近親交配によって、性成熟までに時間がかかることが明らかとなったため。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究では、近交退化現象が顕著に現れるニホンウズラをモデル動物として用いて、近交種‐雑種間キメラの作出などの発生工学技術を導入することにより、近親交配に起因する障害を解析するための新たな実験系を提唱することを目的としている。同一個体内に近交種細胞と雑種細胞を実験的に共存・競合させ、胚の形態形成や発生速度に及ぼす影響を解明することが目標である。近交退化現象の原因追究は、遺伝学や育種学上の普遍的課題でありながら、その発現機構は現在でもほとんど解明されていない。本研究の結果、近交退化現象を緩和・回避するための糸口が見つかれば、優良形質をもつ家畜の維持、鳥類近交系の樹立、さらには絶滅危惧種の繁殖技術としての応用が期待される。本研究では、鳥類で著明に発現する近交退化現象の本質的理解に挑戦する。
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Causes of Carryover |
実験動物であるニホンウズラに、近親交配による近交退化現象が顕在化してきたため、世代交代実験に時間がかかるようになった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
研究期間全体を通して、鳥類における近交退化現象を調べるために使用する。
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