2015 Fiscal Year Research-status Report
Drosophila prolongataにおける求愛行動多様性の遺伝的基盤
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26660263
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
松尾 隆嗣 東京大学, 農学生命科学研究科, 准教授 (70301223)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 配偶行動 / ショウジョウバエ |
Outline of Annual Research Achievements |
求愛行動の中でも、D. prolongataに特徴的なleg vibrationという動作に注目し、求愛行動に多様性が生じるメカニズムについて解析した。今年度は、社会的な要因が求愛行動の多様性に与える影響に関して大きな成果が得られた。まず、Leg vibrationにメスの交尾受容性を高める効果があることを実験的に確認した。交尾受容性の低い系統のメスは、leg vibrationの後でなくては交尾を受け入れない。一方で、leg vibrationにはデメリットが存在することも明らかになった。すなわち、周辺にいるライバルオスがleg vibrationの音を聴きつけ、求愛されているメスを奪って交尾してしまうという現象を発見した。このため、leg vibrationのリスクバランスは社会的条件(=他のオスの有無)によって大きく変化することになる。このような状況に対応して、D. prolongataのオスは単独で求愛しているときにはleg vibrationを行い、他のオスの存在下ではleg vibrationを控えるようになることが分かった。すなわち、社会的条件に応じて求愛行動の内容を変化させていることであり、極めて珍しい事例である。この研究成果をProceedings of the Royal Society B誌に発表した。 このほかに、昨年の発見にもとづいて実験を行い、成虫羽化後の日数によってleg vibrationを行う頻度が変化することを確認した。すなわち、求愛行動の多様性はオスの日齢によっても生じていることが明らかになった。 以上の研究と並行して、求愛行動の多様性に関連する責任遺伝子座を同定するための染色体組換え系統の作製も実施した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
求愛行動に多様性を生じる要因について、大きな成果を得るとともに論文として発表できた。また、求愛行動の多様性に関連する責任遺伝子座を特定するための染色体組換え系統の作製も順調に進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度作製した染色体組換え系統のゲノム配列解析を行い、求愛行動の多様性に関連する責任遺伝子座の特定を目指す。
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Causes of Carryover |
染色体組換え系統の作製が順調に進んだため、当初計画よりも飼育用資材が少なくて済んだため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
予定しているゲノム解析のための追加費用として用いる。
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Research Products
(10 results)