2014 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
26660264
|
Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
岩淵 喜久男 東京農工大学, (連合)農学研究科(研究院), 教授 (00203399)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
天竺桂 弘子 東京農工大学, (連合)農学研究科(研究院), 講師 (80434190)
|
Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
|
Keywords | 昆虫発生・生殖 / 寄生 |
Outline of Annual Research Achievements |
多胚性寄生蜂キンウワバトビコバチを用いて、胚子増殖開始期の遺伝子発現上の変化を解析した。本年度は、まず、寄主胚子内より、桑実胚とそれに引き続く多胚形成直後の胚子よりRNAを抽出し、次世代シーケンサーによるトランスクリプトーム比較解析を行った。この方法では、寄主由来の核酸情報が混入するため、寄主胚のトランスクリプトームを差分することで、目的とする寄生蜂情報だけが得られる方法を開発した。その結果、発現変動遺伝子(FDR<0.05)として306 個の遺伝子が得られ、キョウソヤドリコバチのmRNA をデータベースとしてアノテーションを付与した結果、このうち305 個にアノテーションを付与することができた。このように多数の寄生蜂桑実胚期ならびに多胚形成期の発現変動遺伝子を得ることができ、桑実胚で特に発現が顕著なものとして、胚子運動と胚固定に関わるdystonin、多胚形成速度の性差に関わるdoublesex_(Dsx)、細胞の増殖と分化の制御因子transcription_factor_Kenなどが得られるなど、胚子増殖に関与が想定される複数の遺伝子を選定することができた。また、これまでの研究で、卵割後形成される桑実胚は、培養条件下で幼若ホルモンにより胚子分裂が促進、エクダイソンで抑制されることがわかっており、両者を用いた次世代シーケンサーによるトランスクリプトーム比較解析により、より明確な比較解析を行うことを計画していた。しかし、培地作製に用いる試薬にメーカー側のロット変更があり、問題が生じていた。そこで、用いる試薬の変更について検討し、従来通り十分な多胚形成が得られるよう改良をおこなった。そのため、開始時期は遅れたが、この方法を用いることにより、桑実胚と多胚形成期のRNA抽出を計画どおり開始した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定では、培養胚だけを対象としていたが、培養による影響を考慮するため、寄主体内の胚についてトランスクリプトーム解析を行った。また、培地に用いる試薬に問題が生じていたが、試薬の選定を行った結果、問題を解決した。これらの検討により、培養条件下での比較解析の開始時期は遅れたが、多胚形成に関与する候補遺伝子群が得られたほか、当初の計画も正確性が改善され、培養条件下でのRNAの抽出も順調に開始した。
|
Strategy for Future Research Activity |
当初の計画通りに進める予定である。 培養条件下での比較検討は、エクダイソンとJHの投与のみとしていたが、このほかにアルブミンの種類により多胚形成が影響されることが明らかとなり、これらを用いた比較も加えることにより、多面的かつ、より緻密に目的を達成することにした。
|
Research Products
(1 results)