2015 Fiscal Year Research-status Report
CAS冷却を用いたカイコの永久保存システムの構築に関する基盤研究
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26660270
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
伴野 豊 九州大学, (連合)農学研究科(研究院), 准教授 (50192711)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | カイコ / CAS冷却 / 凍結保存 / 胚子 / 精巣 / 卵巣 / 精子 |
Outline of Annual Research Achievements |
1、カイコの3齢から4齢幼虫の卵巣と精巣を用い、-30℃まで1分間につき、0.5℃ずつCASフリーザー(株アビー社製LAB1)により温度を低下させ、その後液体窒素中に保存した。凍結融解後、宿主個体へ移植を行い、産卵させた結果、産卵を行う蛾数は従来法よりも劣る結果であった。一方、精巣に関しては、系統によりCAS凍結の効果が使用する系統で異なり、明確な優位性を認めるには至らなかった。 2、生殖巣の実験と共に、未交尾雄蛾の体内から採種した精子を用いてCAS冷却の有効性を検証した。採種した精子は、-80℃までCASフリーザー内で一気に冷却し、その後液体窒素中に保存した。凍結融解後に雌に人工授精させ、産下卵の受精率を調査した。系統によりCASフリーザーの有効性は異なる結果となった。凍結保存実験では、凍結開始温度と終了温度、凍結速度等の条件を変えた検討が必要であり、現在のところ、CASフリーザーの有効性の有無について結論するには至っていない。 3、胚子段階でのCAS凍結の有効性を検討した。カイコ卵は固い卵殻に包まれているので、卵殻を取り除き、凍結保護剤が浸透する状態で実験を行った。-30℃まで1分間につき、0.5℃及び1℃ずつCASフリーザーにより温度を低下させ、その後、30分間液体窒素中に保存した。1℃ずつ温度を低下させた場合、CAS凍結区における胚子発育の状態は良好であったが、孵化までは至らなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2年次までに予定した計画の大半は進んでいるが、カイコ以外の昆虫を対象とした実験が遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
CAS冷却はカイコ凍結保存に対して優れた効果があると予想して研究を計画した。しかし、従来法に比べ大きな効果は期待できないことが判明してきた。今後は、カイコ以外の近縁な昆虫種においても検証を進める。比較的入手が可能なエリサン、イチジクカサン、ヤママユガ、サクサン、希少種として凍結保存等の必要性がある鱗翅目昆虫等が候補となる。
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Causes of Carryover |
カイコ以外の実験材料の確保が出来なかったために研究予定が変更となった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
カイコ以外の近縁昆虫種における実験を進める。昨年十分な材料が確保できなかったなエリサン、イチジクカサン、ヤママユガ、サクサン等の入手、飼育器具、凍結保護剤などの購入に充てる。また、希少種として凍結保存等の必要性がある鱗翅目昆虫等の収集を行う旅費を予定している。
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Research Products
(1 results)