2014 Fiscal Year Research-status Report
コガネムシの構造色発色を支える分子機構/遺伝子基盤の解明
Project/Area Number |
26660275
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Research Institution | National Institute of Agrobiological Sciences |
Principal Investigator |
神村 学 独立行政法人農業生物資源研究所, 昆虫成長制御研究ユニット, 主任研究員 (60370649)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石川 謙 東京工業大学, 理工学研究科, 准教授 (10176159)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 構造色 / コガネムシ / コレステリック液晶 / 円偏光 |
Outline of Annual Research Achievements |
昆虫が持つ多彩な構造色は、特殊な光学特性を持つ微細構造から生じる。しかし、昆虫がそのような発色構造を作り出す詳しいメカニズムは分かっていない。コガネムシ類は、自然界でも非常に珍しいコレステリック液晶による円偏光のある構造色を持つ。また、RNAiがよく効くことに加え、申請者は簡便な遺伝子導入技術の開発にも成功している。そこで本研究では、コガネムシの構造色を生み出す分子機構/遺伝子基盤を解明することを目的として、ナミハナムグリを材料に用い、①構造色を持つ組織で特異的に発現する遺伝子を探索した後、②それらのRNAiや過剰発現実験により実際に構造色発色に関わる遺伝子を同定し、さらに③電子顕微鏡観察や光学的解析等によりそれらの遺伝子産物が発色構造を作る仕組みを解析する。 本研究の初年度である2014年度は、コレステリック液晶による構造色とつや消し発色する構造色の2種類の構造色を持つナミハナムグリを材料に用い、蛹の時期もしくは羽化直後(翅のみが色づいておらず、2日ほどで完全に着色する)に、成熟した成虫で2種類の構造色を持つ組織、コレステリック液晶による構造色のみを持つ組織、および構造色を持たない組織をそれぞれ2種類ずつ選んで時期を変えながらRNAを抽出し、RNA-sequence解析にかけて両者のmRNA発現プロフィールを比較することにより、コレステリック液晶による構造色とつや消し発色する構造色のそれぞれに関連する可能性のある遺伝子を網羅的に探索した。“胸部腹面で発現する遺伝子群”=“つや消し様の構造色発色に関係する候補遺伝子群”。このように、様々な組み合わせで発現する遺伝子の違いを調べ、構造色発色に関わる遺伝子の候補を抽出した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
RNA-seqのシークエンス解析は終了したが、データ解析がやや遅れて年度内に終了しなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
2015年度に得たRNA-seq解析を終了した後、構造色発色に関係する可能性のある遺伝子について、2本鎖RNAを作成して蛹に注射することによるpupal RNAiを行い、羽化した成虫での構造色の有無を調べることにより、どの遺伝子が実際に構造色発色に関わっているかを特定する。
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